現地採用として海外転職する場合のメリットとデメリットは何でしょうか?
グローバル化や日本国内市場の低迷により、今後日系企業で働く上でも「海外と関連する仕事」というのは間違いなく増えていきます。
その際に重宝されるのは「海外を知る人材」です。ただ、海外で働くことにも細かく見ていけばデメリットはあります。
この記事では今後増えてくるであろう「日系企業の現地採用」として海外転職する場合のメリットとデメリットについて整理してみます。
新卒なのか、第二新卒なのか、キャリアアップorチェンジなのか、などで細かい部分は変わりますが、ここでは共通する一般的事項を述べていきます。
外資系の現地採用について知りたい方は下記の記事をご参照ください。
この記事の目次
海外現地採用として海外転職するメリット
あらゆるケースで該当する項目を5つ挙げます。
[box05 title=”現地採用で得られるメリット”]- 語学力の向上
- 異文化に対する深い理解
- 日本を客観視できるようになる
- 海外に住むことで自信がつく
- 人生の可能性が広がる
一つずつ補足します。
①語学力の向上
当たり前ですが海外転職をすると外国語を使う機会が圧倒的に増えるため語学力が向上します。
向上幅は本人の努力によりますが、少なくとも「外国人と話す」ということに対する抵抗感は大きく軽減されます(これは日本にいると得難い経験です)。
一般的に現地採用社員の場合は現地スタッフのまとめ役や外部との調整を任されることが多いです。そのため駐在員よりも現地寄りの立ち位置で働くことになります。自ずと外国語に触れる機会も多くなります。
ただ、同僚も顧客も日本人という場合もあるので注意は必要です。また、プライベートで日本人同士で固まってしまうと日常会話の幅を広げる機会が減ります。
②異文化に対する深い理解
海外で生活すると周囲の360度を異文化に囲まれ、道ゆく人ほとんどが外国人です。そうした生活の中で外国人や異文化が自分の生活でも「日常」になっていくのです。
これは、島国で移民もおらず、ほぼ一民族で構成される日本に暮らしているとあまり体験できることではありません。
移住初期は自分との相違点が目に付きますが、そこを超えると人間としての共通点も見えてきます。そこまで至ることができれば一つ海外へ飛び出してきた甲斐もあったと言えるでしょう。
③日本を客観視できるようになる
海外へ行くとあなたは日本代表の外国人です。多くの人たちから日本の文化や歴史について質問攻めに合います。
その過程において何気ない「日本」に対して知識が増えていくこともあるでしょうし、現地の方や他国外国人との対話を通じて日本のいいところも悪いところも見えてきます。
この「日本を客観視する」という経験も海外転職ならではの経験となるでしょう。
「日本にいても外国人の友人を作れば外国人の視点を学べる」という意見もありますが、海外に住んで得られる視点は別物です。また「旅行で頻繁に訪れる」のとも違います。
実際に筆者が住んで働いているから言えますが「海外に住んで働く」という経験は何事にも代えがたい視点を与えてくれます。
④海外に住むことで自信がつく
「海外に住んだ」という事実自体もそうですが、実生活や仕事の中で四苦八苦した経験は自信を与えてくれます。
また、海外で出会う日本人や他外国人たちの「たくましさ」から刺激を受けることもたくさんあります。
「たいていのことは自分で何とかできる」、「世界中どこでも生きようと思えば生きられる」、「誰とでもやっていける」というような自信が身につきます。
大概海外のどこにでも旅行に行き、住めるという考え方になってきます(ものすごい危険なエリアは別ですが)。
⑤人生の可能性が広がる
気持ちの面でも、スキルや人脈の面でも人生の可能性が広がります。
海外で働くと日本では会えないような人に会うことがあります。想定外のお偉いさんと会う機会があったり、まったく異なる業種や経歴の方と交わることもあります。その都度刺激を受けますし、人脈資産としても残っていきます。
海外で働いた後は日本に戻ることもできますし、海外に関わり続ける日本人として人生を選択していくこともできるでしょう。
仮に日本へ帰国し海外に関わらない仕事へ戻ったとしても、海外生活で得た経験があなたの知見を広げているはずです。
海外現地採用として海外転職するデメリット
メリットがあればデメリットがあります。海外で働くことは必ずしも良い点ばかりではないので、よく認識しておいてください。
[box05 title=”現地採用として働くデメリット”]- 給与水準が下がる
- 雇用の不安定さ
- 配偶者、両親、子供問題
- 国内キャリアの空白
- 雑務を押し付けられがち
一つずつ補足します。
①給与水準が下がる
現地同士で現地採用と駐在員を比べた場合、一般的に現地採用の方が給与水準が下がります。最近のベンチャー企業などは例外ですが、いまだに多くの日系企業では駐在員に対して「日本の給与+現地給与や手当」という手厚い待遇を提供しています。
一方で現地採用の場合は現地の給与水準が基準となります。そのため多くの場合日本で働いていた場合と純粋に比較して給与水準が下がる傾向にあります。特に東南アジアやアフリカなど新興国エリアだと顕著です
ただ、現地の物価水準も低いため「可処分所得」という視点で見ると「逆に貯金や投資に回せる額が増えた」という場合も珍しくはありません。
②雇用の不安定さ
日本と比較すると海外での雇用というのは不安定です。
日本国内で働く場合は滅多なことでは解雇されません。一方海外の場合は本社都合で「撤退」や「人員削減」が起こることも珍しくありません。たとえ日系企業の海外支店の場合でも起こりえます。
また、契約社員だと能力が低い場合には遠慮なしに「契約更新しない」という判断を下されます。こちらもたとえ日系企業の海外支店の場合でも起こりえます。
③配偶者、子供、両親の問題
海外へ出ると家族の問題は常に付きまといます。
配偶者がいる場合は自分だけではなく相手の状況も考えねばなりません。友人とも疎遠になりますし、いざ働こうと思っても配偶者に仕事が無いことも考えられます。
また、子供については海外での教育水準と学費の問題があります。さらに成長すると今度は「海外で教育し続けるのか、日本へ戻すのか」という問題が浮上してきます。
両親の問題もあります。LCCの登場でいくら飛行機が安くなったとはいえ、物理的な距離は変わりません。介護の問題もありますし、さらには「親の死に目に会えなかった」という方も実際にいます。
この辺りは事前にしっかりと話し合う必要がありますし、捨てなければならないことも出てきます。
④国内キャリアの空白
最近では少なくなってきましたが、いまだに日本の大手企業は「綺麗な経歴」を気にするところもあります。
海外でのキャリアが極端に短かったたり、知名度の低い企業で働いていた場合は要注意です。日本へ戻って転職活動をした際、大手企業への転職がしにくくなることがあります。
ただ、きちんと海外での実績や経験を語ることによって順当なキャリアアップ転職を実現できることもあります。
最近では「海外経験者」を求める企業も増えているので、昔ほど気にすることではないかもしれません。
⑤雑務を押し付けられがち
日系企業の現地採用の場合、日本から送り込まれている駐在員が上司となります。
個人差はありますが多くの駐在員はなぜか現地採用を心のどこかで見下している人が少なくありません。
また、見下してはいないものの「現地採用は駐在員のためにいる」と考えている人もおり、公私ともに細かい雑務を振られがちです。
メールや資料の細かい翻訳に始まり、ひどい場合は週末に携帯電話の買い物など完全プライベートなイベントに巻き込まれる人もいます。
当然駐在員の中には「(現地採用の)部下のスキルやキャリア」に興味を持つ人はほぼ皆無。教育もほとんどありません。
これが現地採用の場合、スキルアップもキャリアアップも自分にゆだねられる、と言われる所以でもあります。
長期的には海外経験者の需要は必ず増える
実際に海外で働いていると、海外へ興味を持つ日系企業が増えているのをひしひしと感じます。一方で、海外を知らない日系企業の多さも「日本の大きな問題」として感じます。
今後世界はますます小さくなっていきます。そうした中で、日本も世界各国とビジネスで戦っていかなければなりません。その流れに沿い、海外を経験した人材の需要は高まっていくことは間違いありません。
海外転職にはメリットもデメリットもありますが、ご自身のキャリアプラン、世の潮流をしっかり見極めて後悔のない判断をしてください。
「海外で働く強い意志はあるけど決めきれない」という方は一度転職エージェントへの訪問をおすすめします。一人で悶々と悩むよりも格段に速く進みます。
ただし、エージェントを選ぶ際は「海外拠点を持つ、本当に海外に強いエージェント」を選んでください。
当サイト内でもまとめているのでぜひご参照ください。