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それでも海外で働きますか?コロナ過で駐在員に起きた5つの悲劇

日本で新型コロナ感染者が初めて確認されたのは2020年1月。それから約2年が経過しようとしています。

日本国内では人口の7割以上がワクチンの2回目接種を完了し、新規感染者数も激減しました。各国で状況は違いますが、世界では観光客の受け入れの準備に入っている国もあります。

また、筆者が滞在するインドネシアではワクチン接種で一時退避していた日本人が戻りつつあります。

楽観は許されない状況ですが、海外勤務や海外転職に向けて準備を再開するには良いタイミングかもしれません。

しかし、ここで一度考えていただきたいことがあります。

それは「海外で働くリスク」です。

コロナ過は、我々海外で働く日本人に「海外で働くリスク」を改めて教えてくれました。海外で働くこと自体を考え直し、日本へ本帰国して新たな生活を始めた人も少なくありません。

本記事では、筆者が海外で実際に見聞きした事実を踏まえ、コロナ禍で起きた在留邦人を取り巻く悲劇をご紹介します。

「このようなリスクが再び起こり得る」、という教訓として参考にしてください。

 

一時帰国が本帰国に

コロナが猛威を古い始めた2020年は各国がその対応に追われました。日々変化する情勢に合わせ、新たな規制や制限が目まぐるしいほどに追加されていきました。

当然企業もその変化に合わせていかなければなりません。ただ、多くの企業は変化に併せていくので精一杯で、将来の計画を立てることのできない状態であったと推察されます。

そのような中で「撤退」もしくは「事実上の撤退」の判断を下した企業もありました。特に進出したばかりで経営が不安定な企業や、現地での収益化があまりできていない企業の中で起こりました。

企業にとっても想定外の判断となりましたが、最も想定外だったのは海外担当者として赴任していた個人たちです。

海外で数カ月~数年の時間を費やした中、不本意ながらの撤退。

一時帰国として日本へ帰国し、暫定的にあてがわれた国内のポジションで身の入らない仕事に時間を費やす。

近いうちに海外へ戻れると信じて頑張っていたものの、ある日突然「本帰国」の辞令が日本国内で下る。

このようなケースが散見しました。

不可抗力であったとはいえキャリア上でプラスになる話ではありません。また精神面でダメージを受け心が折れてしまう人もいたでしょう。

駐在員の場合は本社のさじ加減一つでキャリアの采配が決まってしまう、ということを身を持って体感した方は多いはずです。

 

駐在できずキャリアの白紙期間に

多くはありませんが日本から海外へ行けなかった、というパターンもありました。

国によっては「新規就労ビザの発給停止」という状態になり、あらたに人員を派遣できない状態が続いていました(いまだ続いている国もあります)。

そのため海外駐在がいつになっても始まらず、最終的には「白紙撤回」という判断をする企業もありました。

社内の配属という形で駐在を予定していたのであれば問題ありません。

最悪なのは「海外赴任を前提として転職していた場合」です。

海外赴任を前提として採用されたため、日本国内にポジションはありません。

さらに、国内事業の部隊として雇用されたわけではないので、国内では貢献できないパターンが多いでしょう。

「1年待ったが海外赴任の目途が立たず、いたたまれなくなり再転職した」という方もいました。

「正常な社会からコロナ禍への移動期で転職してしまった」ゆえの稀なケースですが、このようなことも起こりえるという教訓になるでしょう。

 

想定外の単身赴任

海外現地で緊急事態が起きた場合、企業が最優先するのは「従業員の安全確保」ではなく「従業員の家族の安全確保」です。

業務のために従業員が帰国できない状況でも、まず家族を帰国させることを検討します。

また、今回のコロナ禍により「家族を帯同させるリスク」を考え始めた企業も多いです。具体的には「緊急時の金銭的、事務的負担」です。

そのため家族を日本へ戻した後、海外への再帯同を行わない企業もいます(ビザの関係で帯同そのものが不可能な場合もあります)。

元々夫婦の中で単身赴任を想定していた場合は良いのですが、そうでなければかなりの精神的苦痛を伴います。

このような状況も、緊急時では起こり得ると覚悟をしておいた方が良いでしょう。

 

半年間ほとんど誰とも会えず

日本ではそこまで厳しい措置が取られませんでしたが、国によっては「外出禁止」や「商業施設や娯楽施設の営業禁止(事実上の外出不可)」という措置がとられました。

その場合はオフィスへの出社も禁止されるので、24時間自宅に滞在することになります。

「1人が好き」という人もいるでしょうが、海外で、さらにこの状態が数カ月続く精神的負担はそうとうなものがあります。

引きこもり状態が続いたゆえに心を病むケースもありました。特に赴任したばかりでこのパターンに陥った方は大変だったでしょう。

コロナ禍ゆえのケースと言えるかもしれませんが、海外生活では「孤立」はいつでも起こる可能性があると学ばせてくれるケースです。

 

親の死に目にたちあえず

駐在員、現地採用問わず海外で働いている限り起こり得る最大の悲劇の一つです。

海外で働いていても、まだ通常時であれば緊急帰国で1~2日以内に日本に戻ることは可能です。ただ、コロナ禍ではその選択肢すら与えられなかった人々がいます。

遠く離れた海外で何もできずに、ただ両親が亡くなったという事実だけが伝えられる。近親葬で見送ることもできず。

行き先のない悲しみ、怒りを何度ソーシャルメディアの中で見かけたかわかりません。

もちろん日本国内にいても、親の死に目に立ち会えないこともあります。

ただ海外にいればその確率は非常に高くなるということは認識しておいた方が良いでしょう。

こんなはずじゃなかったと後悔しないために

今回あげたケースはコロナ禍で生じたケースです。今後また起こる可能性があるとは言えません。しかし「可能性がない」とも言えません。

もちろん、海外で働くのなんて面倒だからやめておけ!と言うつもりはありません。

現在は日本人も積極的に海外へ出て働かなければならない時代になってきています。

ただ、心の片隅に可能性として置いておいていただければと思います。

過去のケースを知っておくことで、有事の際の受け捉え方も変わるかもしれません。

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