海外で働いてみたい、海外転職をしたい、と思っても具体的に何から始めれば良いかわからない人も多いでしょう。
海外転職の場合、国内での転職よりも入念な情報収集が必要ですが、基本的な進め方は国内の転職とそう変わりません。
きちんと流れを整理し、進めていけば初めての海外転職でも成功させることができるでしょう。
この記事では海外転職で失敗しないための具体的な方法・進め方について説明します。
この記事の目次
海外転職を失敗なく進めるための7ステップ
個人的な知見を踏まえ、一般的な海外転職の流れを切り分けてみます。全部で大きく7つのステップに分かれます。
- ステップ1 海外で働きたい動機の整理
- ステップ2 行きたい国やエリアを決める
- ステップ3 当該国の情報収集
- ステップ4 求人情報収集+転職エージェントへの相談
- ステップ5 応募・面接
- ステップ6 条件交渉
- ステップ7 内定後の準備
一つ一つ見ていきましょう。
ステップ1 海外で働きたい動機の整理
どれほど海外で働きたい!という気持ちが強かったとしても、まず立ち止まって考えてほしいところがここです。また、一番時間をかけてほしいステップでもあります。
海外で働く日本人が増えてきた、と言ってもやはり日本国内での転職とは異なります。
100%周囲が日本人である日本から一歩飛び出せばやはり別世界。時には孤独の中で悩むことだってあります。悩んだ時に気軽に相談できる日本人の友人はいません。
また、まったく今まで見えなかった道が見え、考えもしなかった方向へ進むことだってあるでしょう。
元々の目的を明確にしておくことで苦境でも気を強く持つことができますし、誤った判断を避けることができます。
- 今後マーケットが伸びる新興国での経験を若いうちに積んでおきたい
- 得意な英語を実用的なレベルまで引き延ばしたい
- 将来は欧州に移住したいので仕事で関わるための足がかりが欲しい
- 実力主義の世界で上り詰め高給取りを目指したい
など動機は人それぞれですが、
- なぜ海外へ行きたいのか?
- 何を成し遂げたいのか?
- どれくらいの期間なのか?
あたりは文章で説明できるレベルまで整理した方が良いでしょう。
ステップ2 行きたい国やエリアを決める
目的が明確になった後は、それを実現できる国を決めます。理想の状態は「この国でこういう仕事をしたい!」ですが、誰しもがそこまで落とし込めるものでもありません。
国まで落とし込めない場合は「東南アジア」や「欧州」、「東アジア」など広めの区分けでも構いません。エリアさえ決まっていれば情報収集しながら矛先が自ずとシャープになっていきます。
「とりあえず海外のどこでもいいから日本を出たい」というのはやめてください。曖昧すぎて着地できないでしょうし、内定をもらって移住したとしてもどこかで心が折れてしまう可能性が高いです。
ステップ3 当該国の情報収集
ある程度エリアや国が確定した後は、情報収集をします。特に手に入れておきたい情報は、
- 当該エリアや国の社会情勢や経済状況
- 当該エリアで必要とされている職種の傾向
- 就業ビザなど就業規制に関する情報
- 生活インフラや物価など、実生活に関する情報
です。
情報収集の方法は多数あります。人材紹介会社が開くセミナーに参加するのも良いですし、希望国ですでに働いている人たちのブログを読み漁るのも良いでしょう。
もし熱烈に行きたい国が決まっているのであれば休暇を利用して現地へ飛び、現地で働く日本人へアポを取って話を聞くのも効果的です。
知人の知人を辿れば一人くらいは該当者がいるかもしれませんし、意外に面談を申し込むと時間を作ってくれたりもします。また、それくらいの「図々しさ」があった方が海外で働く上では有利です。
https://kaigai-tenshoku.net/research-about-area/
ステップ4 求人情報収集+転職エージェントへの相談
ある程度情報収集し、飛び立つ気持ちが準備できた後は具体的な求人情報を探します。
求人情報収集の際は、求人情報サイトと転職エージェントの両方を活用しましょう。
https://kaigai-tenshoku.net/agent-vs-media/
具体的には、先に求人情報サイトで当該国にどのような仕事があるかをインプットします。もし魅力的な求人があればそのまま面談を申し込んでも構いませんが、どのような場合にしろ転職エージェントも活用した方が良いでしょう。
リクルートエージェントやJACリクルートメントのような海外にも根を張る大手エージェントには「非公開求人」というものがあり、多くの場合緊急性を要し条件も良いです。また、担当してくれるエージェントの質にも左右されますが、多数の情報を元に客観的な意見をもらえます。
https://kaigai-tenshoku.net/agent-recomended/
さらに、ここでは多くは語りませんが慣れない海外転職の場合に内定後のサポートは大変役に立ちます。ほとんどの転職エージェントでは転職後数カ月の定着を持って「成約」とみなすため潤滑な転職開始に向けたアドバイスもしてくれます。
ステップ5 応募・面接
興味のある求人が出てきた場合は必要書類を応募します。英字版のレジュメ以外に、日本語での履歴書と職務経歴書も用意しておきます。
外資系や現地企業の場合は英字版レジュメのみで事足りますが、日系企業の場合は現地採用応募であっても本社確認用に日本語版の書類が必要だったりします。
面接へ進む場合、面接の方法は
- SKYPE
- 対面
- 複合型
の3パターンがあります。
海外にいて感じますが、最近はSKYPEで完結する面接も増えてきました。ただ、可能な限りは直接現地に行って意思決定をする方がミスマッチを防げるでしょう。
もし現地へ行く場合は複数社の面接をかぶせます。
せっかくお金を使って現地面接へ行くのです(※)。エージェント経由以外にも気になる求人があれば求人サイト経由、もしくは直接連絡してアポイントを取得してしまいましょう。
※原則的に面接渡航費は企業側からは出ないと考えておいた方がよいです。
ステップ6 条件交渉
面談をクリアした後は給与交渉です。特に外資系企業や現地系企業に転職する際には重要なステップです。
日系企業とは異なり、日本以外の企業では年功序列の給与テーブルなどはありません。「自分はいくらの価値がある」ということを積極的にアピールし、給与をアップさせていくのが普通です。給与交渉の際には何らかのロジックを持って先方と交渉していきます。
その他の福利厚生は求人募集の段階で確定している場合が多いですが、特に何か希望があればそれも伝えておきます。
日系企業でしか働いたことのない日本人は、この交渉が苦手な人が多いです。文化としてあまりないので致し方が無い部分でもあります。
この辺りも転職エージェント経由であれば代理で交渉をしてくれるので助かります。
ステップ7 内定後の準備
内定後、現職の退職手続きに加え海外転居の準備を進めます。海外転職といっても企業側にとっては「通常の人事募集」であり、内定後数カ月も待ってくれるものではありません。
海外であればone month notice(1ヶ月前の退職通知)が常識となっているので、翌月か、遅くとも翌々月からは働いてほしいという流れになります。管理職レベルであれば3 month notice (3ヵ月前の退職通知義務)が通例なのでもう少し待ってくれるでしょう。
上記の通り内定から受け入れまでの期間は日本とそこまで相違ないため、現職の退職手続きと並行して海外転居の準備を進めます。
ざっと挙げるだけでも下記の準備が必要です。
- 税金や年金、保険関連
- 住民票の扱い(抜くことも可能)
- その他個人情報の変更手続き
- 独身の場合は自宅の処理
- 家族持ちの場合は子供や奥さん含めた準備
- 現地で必要となる物資や書籍の買い出し
- 引っ越し準備
内定後の準備については別の記事でまとめますが、一つだけ言えることは「内定が出た後に慌てて準備するとミスする」ということです。
転職活動と並行して現地情報は仕入れるはずなので、転職活動しながら準備できることは準備しておきましょう。
事前の情報収集で着実な転職を
基本的な流れは国内転職と変わりませんが、現地面接や内定後の引っ越しなどが伴う部分は大きく異なります。
一度海外へ出ると「ちょっとあれをやり忘れた」という気持ちで戻ってくることはできません。体の移動を伴う「現地面談」や「転居」には十分な時間をかけて準備をするようにしましょう。