海外勤務を前提に転職するのであれば英文履歴書が必須です。
英文「履歴書」と言っても日本の履歴書とは書き方が大きく異なります。日本の履歴書を英文に翻訳するだけでは意味を成しません。
探せば英文履歴書の書き方やサンプルの情報はすぐに見つかりますが、サンプルやフォーマットを踏襲するだけで効果的な英文履歴書が書けるわけではありません。
最も大切なのは日本語の履歴書との違いを把握することです。「コンセプト」と呼ぶとわかりやすいかもしれません。
本記事では英文履歴書を書くのが初めての人にもわかりやすいよう、完結に英文履歴書の書き方や日本語履歴書との違いについて説明します。
この記事の目次
英文履歴書は履歴書と職務経歴書が一枚になったもの
英文履歴書は英語ではCV(Curriculum Vitaeの略で“シーヴィー”と読む)やResume(レジュメ)と呼ばれます。
日本で転職活動をする際は、主に個人情報を記載する「履歴書」と職歴を細かく記載する「職務経歴書」の2枚に分けて準備します。
海外で使う英文履歴書は「履歴書」と「職務経歴書」2枚を1枚にギュッと凝縮して職務経歴書に寄せたもの、と考えるとイメージをつかみやすいでしょう。
2種の情報を原則的に1枚、長くても2枚に収めるので情報濃度がかなり高い書面となります。
日本の履歴書と英文履歴書の違い
英文履歴書の細かい書式に入る前に、英文履歴書の「性格」的な部分を理解しておくとわかりやすいでしょう。
理解しやすいよう「日本の履歴書と比較した際の英文履歴書の特徴」をピックアップしてみます。
- 結論ファースト(職歴は現在から)
- 要点のみ完結に書く
- 人柄より能力
- 謙虚さは必要なし
結論ファースト(職歴は現在から)
英文履歴書はとにかく結論から書くことを意識してください。回りくどい経緯は必要なく、すべては結論ファーストです。
特に英文履歴書の性格がよく出ているのは職歴の書き方。
日本の履歴書は丁寧に過去から現在までさかのぼるように書きますが、英文履歴書は「現在」がすべて。現在に重きを置き、職歴も現在から過去の流れで書いていきます。
要点のみを簡潔に書く
文章を書く時はだらだらと長く書いてはいけません。「要点」を絞り込み完結に書くことを意識してください。
元来「英語」というのは直接的な表現を好む言語です。一方「日本語」というのは間接的な表現を好みます。
日本語のノリで英語にそのまま翻訳してしまうと非常にわかりにくい表現になりがちですし、何よりも文字数が膨れてA4用紙1枚に収まり切りません。
伝えたいことはたくさんあるかもしれませんが、限られた紙面で本当に伝えるべきことは何か?を考えてから書くようにしてください。
人柄より能力
英文履歴書の目的はずばり「能力」を相手に伝えることです。それ以外の情報はほとんど必要ありません。
日本語の履歴書の場合は丁寧に「趣味」や「出身地」まで記載します。これは日系企業が能力だけではなく「人柄」も重視して採用していた名残なのでしょう。
海外で出す履歴書に人柄は微塵も必要ありません。
1に能力、2に能力、3,4が能力を裏付ける経験で、5でまた能力…くらいのイメージで書いた方がよいです。
謙虚さは必要なし
海外ではアピールしない人間は日の目を浴びることはありません。相手方から察してくれることなんてほぼ皆無だと思っておいた方が無難です。
履歴書も同じ。
つつましく謙虚に書き方を押さえる必要はありません。とにかく自分の職歴に裏打ちされるスキルをどんどん書き出していきましょう。
「私はこんなことをしてきた」「こんな能力がある」と自信満々に伝えるのです。
日本人として「うわ~、ちょっと言いすぎかな?」と不安になるくらいが海外ではちょうどよい塩梅です。
蛇足ですが外国人は履歴書でも面談でもとにかく自信満々に自分のすごさをアピールしてきます。
あることないこと含まれているので「実際は5割引き」くらいで判定するのが無難だったりします。ここは面接官の見抜く力が試されるところです。
英文履歴書の様式
英文履歴書には3様式ありますが、3つも覚える必要はありません。
補足的に3つのタイプについて記載しておきますが、通常は「コンビネーション様式」と呼ばれる様式で書けば大丈夫です。
- クロノロジカル(Chronological)
新しい順番に時系列で職歴から最終学歴までさかのぼって記載するタイプ。
- ファンクショナル(Functional)
スキルと経験だけを記載するタイプ。
- コンビネーション(Combination)
職歴にスキルと経験を記載しながら記載するタイプ。通常はこの様式で書けば問題ない。[/box05]
コンビネーション様式のサンプルとフォーマット
いきなり書け!と言われても難しいので、参考としてコンビネーション様式のサンプルとフォーマットをアップしておきます(内容は架空の人物です)。
使用する際は赤字の日本語指示は消してください。
学歴の書き方
Educationの部分には学歴を書きます。日本の場合は小中高から大学、と学校に沿って書きますが、海外の場合は「学位(≒高校以降の専門分野)」を記載します。
学位は「学位の種類→学校名→都市→取得年」の順場で記載し、複数ある場合は新しいものから順番に記載していきます。
学位がない場合は最終学歴(高校や中学)と卒業年を記載するのが一般的です。
学位の種類には決まった言い回しがあるので、日本語を独自に翻訳してはいけません。
通常、「学士の種類(博士か修士か学士か)→分野(専攻分野)」の順で記載します。
以下に一覧表を付けておくのでご利用ください。
学位の英文対照表
学位(学士) | 英語表記 | 記載方法 |
高等専門学校(準学士) | Associate degree | Associate degree in ~ |
短期大学(短期大学士) | Associate degree | Associate degree in ~ |
大学(学士) | Bachelor | Bachelor of ~
以下の書き方も可 |
大学院の修士課程 | Master | Master of ~
以下の書き方も可 |
大学院の修士課程 | Doctor | Doctor of ~
以下の書き方も可 |
専門分野(専攻分野)の英文対照表
文系 | 理系 | ||
文学部 | Letters | 理学部 | Sciences |
法学部 | Law | 工学部 | Engineering |
経済学部 | Economics | 建築学部 | Architecture |
政治経済学部 | Political Science and Economics | 理工学部 | Engineering Science |
心理学部 | Psychology | 農学部 | Agriculture |
教養学部 | Arts and Sciences | 情報学部 | Informatics |
商学部 | Commerce | 芸術工学部 | Design |
経営学部 | Business Administration | 海洋学部 | Marine Science and Technology |
政策学部 | Policy Studies | 水産学部 | Fisheries Sciences |
国際関係学部 | International Relations | 環境情報学部 | Environment and Information Studies |
社会科学部 | Social Sciences | 情報科学部 | Information Science |
神学部 | Theology | 医学部 | Medicine |
社会学部 | Sociology | 歯学部 | Dentistry |
福祉学部 | Welfare Studies | 薬学部 | Pharmacy |
人間福祉学部 | Human Welfare Studies | 獣医学部 | Veterinary Medicine |
スポーツ健康科学部 | Health and Sports Science | 看護学部 | Nursing |
体育学部 | Physical Education | 看護医療学部 | Nursing and Medical Care |
外国語学部 | Foreign Language Studies | 保健学部 | Health Sciences |
総合政策学部 | Policy Management | ||
国際政治経済学部 | International Politics, Economics and Communication | ||
観光学部 | Tourism |
経験や役職の書き方
職歴とともに経験について書いていきますが、油断すると同じ単語ばかりを使ってしまいます。
相手側からすれば同じ内容が続くのは見る気を削がれます。
また、自分の経験や能力を的確に伝えるためにも適切な英単語を選ぶことが大切です。
ここでは英語の細かい内容は書きませんが、もし必要な方は下記のページ(オールアバウト)が大変参考になるのでチェックしてみてください。
また、役職に関しても同じく参考になります。
英文履歴書はまず書いてからブラッシュアップする
日本語の履歴書ですら「一発で完璧な内容を書けます」という人はなかなかいません。
普段書かない英文履歴書の場合はなおさらです。
最初は筆が重いかもしれませんが、まずとにかく見よう見まねでもよいので書いてみることです。
その際には人が書いた内容をコピペするのではなく、まず日本語で内容を書き起こしそこから英訳するようにしましょう。
フォーマットを参考にしつつも中身は自分ならではのオリジナルでなければなりません。
転職エージェントのWebサイトでも英文履歴書の書き方を丁寧に解説している場合があるので参考にしてもよいでしょう。
海外に強い転職エージェントは英文履歴書の添削もしてくれます。
ある程度書きあげたならばいっそのこと持ち込んで誰かに叩き直してもらう方が近道だったりします。
海外に強いエージェントについては下記記事を参考にしてみてください。