物事は表裏一体でメリットもあればデメリットもあります。海外で働く場合もメリットがあればデメリットもあります。
本サイトでは海外転職に関するメリットやデメリットはすでに書いているので、今回は日本で働く場合について考えてみます。
海外で働くメリットやデメリットについてはこちらの記事をご参照ください。
この記事の目次
日本で働く(働き続ける)デメリット
大前提としてですが、私は誰にでも海外キャリアを勧めることはしません。やはり向き不向きがありますし、実際に成功している人もいれば失敗としか言えない人もいます。
ただ、選択肢の一つとして「海外」と「日本」の双方を客観的に知っておいた方が良いと考えています。日本で働いている場合は自分の環境を客観的に考えてみてもよいでしょう。
私は実際に海外で数年働いていますが、日本も海外もそれぞれ「いい所」があれば「悪い所」もあります。
でも今回はあえて日本に住んでいるとわかりにくい「日本で働き続けるデメリット」を書いていきます。
グローバル経済から取り残される可能性
当たり前すぎて今さら言葉にする必要はないかもしれませんが、今や世界経済は急速にグローバル化を進めています。
世界中の企業が世界中の顧客を求めて動き出しています。そこには日本も含まれています。
「じゃあ日本にいて海外と関連する仕事をしていればいいじゃないか」という意見もあるでしょう。
それは考え方に依ります。
例えばあなたが今「IT技術とインフラ」がものすごく遅れたどこかの国にいるとして、ITサービスに関わっています。それはIT産業の先端にいると言えるでしょうか?時が経過するにつれどんどん取り残されていくとは感じないでしょうか?
トヨタに代表される自動車産業、ユニクロやユニ・チャームなど特異な企業を除き、世界で勝ち続けている日本企業は想像以上に少ないです。
「今現在世界で稼いでいる日系大手企業はたくさんいるじゃないか」と思われるかもしれません。もちろん探せばいるでしょうが、どちらかと言うと「過去の遺産」で生き延びている企業がほとんどではないでしょうか。
私は現在東南アジアに住んでいますが、東南アジアでは韓国や中国と比べて日系企業の勢いは弱いと感じます。自動車以外の家電、スマートフォン、Webサービス、その他サービスなど、数も勢いも見劣りします。
主題から反れるので長く論じるのは避けますが、「技術はあっても売り方を知らない」という印象を受けます。
この差を埋めていくためには日本から積極的に人材を外に出し、世界を肌で知っている人を育成していくしかありません。
こと「グローバル人材」というテーマで考えると、そのために先端に行くのか、中で機を待つのか、という考え方になるでしょう。間違いなく言えるのは「日本の外に出た人に比べ、日本の中にいる人のグローバル人材としての成長は遅れる」ということです。
一度海外に出ると肌で感じますが、日本にいて感じる「外国」と実際に住んで働いて感じる「外国」とは埋められない差があります。
少子高齢化の波と経済の縮小
総務省が発表しているデータによれば、日本の人口はすでに減少を始めており、2060年には約8,674万人にまで減ると予測されています。
また、人口減に合わせて労働人口は減りますが、働けない高齢者は増えていき労働者の負担は増えます。いわゆる少子高齢化です。
「少子高齢化をピンチではなくチャンスととらえて新しい市場を!」という考え方がありますし、そうすべきだと思います。しかし、原則論で考えれば少子高齢化は市場の停滞や縮小につながります。
下記のように具体的なデータを予測される人もいます。
まず、日本のGDP成長率についてみてみると、生産性が回復しても少子高齢化の影響が大きく、どのシナリオでも2030年代以降の成長率はマイナスとなる。
「縮小する経済」と「拡大する経済」の2つがあった時、同じ労力をかけるならば「拡大経済」の方が給与や市場価値の点で恩恵を受けやすいです。
「日本を捨てて海外へなんて行けない」という方がいるかもしれませんが、「海外へ行く=日本を捨てる」ことではありません。
「海外で稼いで日本に税金を納める」、「海外から日本市場に直接携わる」など海外にいても日本との関わり方はたくさんあります。むしろ日本との関わりが完全に切れている人を探す方が難しかったりします。
この環境の中で、自分がどのように立ち回っていくのかは一度考えてみても面白いでしょう。
雇用の不安定化と給与の停滞
日本の労働人口は減り続け人手不足の日本ですが、忙しくなるばかりでほとんど給与には変化は生まれていません。むしろここ20年は給与低下トレンドに見舞われました。
「給与の停滞」については様々な論じ方がありますが、原因の一つとなっているのが雇用の不安定化です。
現在の日本では雇用の約40パーセントが非正規雇用でカバーされています。正社員と比べ、非正規雇用者の待遇や保証、給与は低い傾向にあります。これが日本全体の給与低下傾向に多かれ少なかれ影響しています。
気になる方は下記の記事が参考になります。
非正規雇用が増えた原因は「雇用を守るため(完全失業者を減らすため)」です。ただ、経済が本質的に成長していない状態で、雇用を無理に守ると当然一人当たりの給与は下げざるを得ません。
「私は正社員だから関係ない」と思う方もいるでしょうが、対岸の火事ではありません。非正規雇用者を対象に待遇を変えていくのであれば、正社員の待遇改善は後回しになる可能性だってあります。
非正規雇用者の話は日本だけの話ではありませんが(少し前のスペインも同じ状況だったかと…)、このような状況を鑑みて世界に目を向けてみるのも面白いでしょう。
世界を見る機会損失
最後は少し感情論になるのですが、「せっかく21世紀に生まれたのだから世界を見ておかないと損」という考え方です。
この考え方には2種類あります。
1つは「21世紀の日本に生まれたからには世界を見ないともったいない」という考え方。
交通サービスの進化により今や学生でも海外旅行をできる時代になりました。また、海外にいながらも簡単に日本と連絡を取れるため、仕事でもプライベートでも世界にいながら日本と関わり続けることができます。
さらに、経済停滞が騒がれる日本ですが、まだまだ世界有数の先進国であり給与水準は高い方です(今後はわかりません)。アフリカの人が世界に移動するのは金銭的に大変かもしれませんが、日本人はまだ簡単に海外へ出られます。
このような好条件が揃っている中で、世界を知らずに閉じこもってしまうのはもったいないと感じませんか?
もちろん、日本にいながらグローバル化する世界を感じていくこともできますが、すでに述べた通り外で感じる海外の方が「生の海外」を感じることができます。
もう1つの考え方は「経済成長している市場に飛び込まないともったいない」という考え方です。これはアジアやアフリカの新興国にフォーカスした場合の話に限定されます。
残念ながら日本はここ20年ほど停滞しています。生活水準も給与もほとんど変わっていません。ところが、経済成長著しい東南アジアに目をやると、たった5年で最低賃金が倍になったり、荒れ地がたった数年で街に変わったり、ととにかく成長が目に付きます(私が今住んでいるのは東南アジア)。
その中で必要とされる技術やサービスの数は多く、それだけチャンスも広がっています。
私が海外へ来た理由もこれでした。
日本の高度経済成長期を知らない世代でしたので、生まれた時にはすでに不景気。そんな中、若い頃アジア旅行をした時に「活気」に心を動かされました。
それ以来「この時代に日本に生まれたのだから、人生で一度は爆発的に成長する社会を見てみたい」と考えるようになり、しばしの準備期間を経て海外へ出ました。
まぁ、ここの感じ方は人それぞれですが、実際にアジアに身を置いてみるとガラリと世界観が変わります。
海外との関わり方は人それぞれ
と、ここまで書きましたが相性含めて海外との関わり方は人それぞれだと思います。
あえてデメリットばかりを書いてきましたが、もちろん日本で働き続けるメリットだってたくさんあります。
ただ、少なくとも「海外と関わる」ことは避けられない世の中になっているのは事実です。
取り巻く環境をどのようにとらえるのかは自分次第ですが、少しでも海外との仕事やキャリアを考えるきっかけになってくれれば嬉しい限りです。