これからの時代、海外キャリアの選択肢は日本でも増えていくでしょう。
外務省の海外在留邦人統計調査によれば、2016年の海外在留邦人の数は133万人を超え、調査開始以来過去最高の数を記録しています。
平成28年(2016年)10月1日現在の集計で、わが国の領土外に在留する邦人(日本人)の総数は、133万8,477人で、前年より2万1,399人(約1.6%)の増加となり、本統計を開始した昭和43年以降最多となりました。
引用:外務省 海外在留邦人統計
経済のグローバル化が進む中、海外人材の市場価値は間違いなく高まっていきます。上手に進めれば給与の面でも経験の面でも、そして人脈の面でも人生を実り豊かにしてくれるでしょう。
一方、華々しく見える海外就職・転職も成功ばかりではありません。日本から遠く離れる海外転職では少なからず「失敗」ケースも存在します。
なぜ人は海外転職で失敗するのでしょうか?
この記事では海外転職で失敗する人のケースを5つリストアップします。海外への転職活動を始める前の参考になれば幸いです。
この記事の目次
理由① キャリアの計画性が無い
海外で日本人が働く場合、日本で働く場合以上に「キャリアの計画性」が重要です。
なぜなら前提として海外では日本のように「企業が丁寧にスキルアップやキャリアアップを考えてくれる」ということは一切ないからです。
仮に新卒で海外の現地企業に入ったとしても、研修などはなくいきなり「即戦力」として現場を任されます。
そういう意味ではいきなり責任のある仕事を任せてもらえるダイナミクスもありますが、自ら成長を意識しなければ成長はあり得ないという厳しい側面もあります。
また、日本を飛び出して働くと、色々なことが起こります。
海外キャリアというものは日本で想像するよりも決して派手なものではなく、地味で厳しい面もあります。
時には慣れない環境の中で孤独と戦う状況も出てきます。また、その逆であまりに海外に慣れてしまい「ぬるま湯」に満足して歩みを止めてしまう人もいます。
いずれの場合にしろ自分を支えてくれるのは「キャリア計画」です。
- なぜ海外を選んだのか?
- なぜこの国に来たのか?
- 5年後、どのような環境に身を置きたいのか?
少なくとも上記3つに対する答えは明確に持っておきたいものです(いずれにしろ面接でも質問されます)。
海外で辛そうにしている人、また立場的に追い込まれて身動きできなくなってしまった人、というのは往々にして目的意識が低く、中には勢いだけで海外へ来てしまった方もいます。
日本の場合キャリアの軌道修正は簡単ですが、海外の場合は日本の数倍負担がかかります(お金の面でも気持ちの面でも)。
理由② 現地リサーチ不足
その国を知らないまま進めてしまい、現地に来てから「こんなはずじゃなかった」というパターンです。
文化の異なる国
で働く海外転職では、仕事内容や報酬条件以外にも調べておくべきことがたくさんあります。ある意味では仕事以上に「生活」の方がガラリと変化します。
ビザやキャリアの問題はもちろん、食事や医療環境など地味な部分ほど綿密に調べておかねばなりません。
国について調べておくべき項目については下記の記事もご参照ください。
https://kaigai-tenshoku.net/research-about-area/
理由③ 日本流に固執する
海外では転職後に現地に馴染めず、腐ってしまったり心を病んでしまう人もいます。そもそも「性格の問題」と割り切ることは簡単ですが「心持ちの問題」とも言えます。特に日本である程度の経験とスキルを持っている人ほど陥りがちかもしれません。
日本でも学生から社会人になる時、たくさんの「違い」を感じます。海外に飛び出して感じる「違い」はさらに強いものと考えておいた方が良いです。
- 約束時間に対する考え方
- 締め切りに対する考え方
- 会社への帰属意識
- 仕事の責任範囲や責任意識
- キャリアに対するそもそもの意識
- 宗教への優先順位(特に東南アジア圏)
- 家族や友人への優先順位
- スキルアップやキャリアアップに対する会社からの考え方
など、違いを挙げればきりがないほどあらゆることが違います。
「日本ではこうだったのに…」と嘆くのではなく、「ここではこういうものなのだな…」と心を大きく開いて受け入れていかねばなりません。
もちろん、日本人として日本流の良い部分はたくさんあります。ただ、それを押し付けるのではなく、うまく現地文化と調整しながら順応していくのが肝要です。
郷に入りては郷に従え。何ごとも海外ではバランスが大事です。
理由④ ブラック企業への入社
日本でも何かと話題になっているブラック企業ですが、海外にも存在します。
現地人が経営する現地企業であれば「確かにあるかもなぁ」と思わるかもしれませんが、意外に多いのが「現地で日本人が経営するブラック企業」です。
「海外で働きたい」という転職者側の気持ちを逆手に取り、現地に呼び寄せて退路を断った後、ひどい待遇で飼い殺しにする、というパターンはどこの国でも聞きます。
海外で働き出した初期では、当然ですが友人など頼れる存在はいません。日本であれば「条件と違った」といって様々な伝手を辿って対処できる問題も、海外では簡単ではないのです。
特にお金がない場合はその国から動くことすらできなくなってしまいます。
現地に移住してからそのような事態に陥らぬよう、くれぐれも転職前に「評判チェック」は怠らないようにしましょう。
理由⑤ 契約手違い
日本で働いている場合、滅多なことがなければ「会社と法的な問題で争う」ということは少ないかもしれません。
同じ国民同士ということもあるのか、白黒はっきりしない国民性がそうさせるのか、話し合いで片付くことが多いでしょう。
一方、海外では日本以上に「契約書」がものを言います。
労働者の立場でも、会社運営の立場でも、はたまた会社間の契約でもとにかく契約書が重要です。
あえて言いきってしまいますが、海外転職で日本人が遭遇するトラブルのほとんどが「契約」に多かれ少なかれ関連しています。
- 契約内容をよく理解していなかったばかりに起きたトラブル
- 契約を撒いていなかったばかりに起きたトラブル
の両方が起こり得ます。
契約について日本での転職以上に敏感になっておかねばなりません。また、契約の段階では可能な範囲で「現地の労働法」の性格を知っておいた方が良いです。
契約に関する失敗談については別記事もご参照ください。
https://kaigai-tenshoku.net/real-trouble4/
相談できる人を見つける
海外転職での失敗は自分の意識一つで避けられるものもありますが、自分だけでは避けにくいものもあります。特に現地の知識が必要になるものについては完全な回避は難しいでしょう。
はじめての海外転職ではエージェントの活用が成否をわけます。当サイトでは海外現地の知見を活かし「本当に頼れるエージェント」をまとめています。
海外転職を予定している方は下記の記事も参考にしてみてください。