「いつかは海外で働いてみたいけど…給料がどうなるか心配で…」と悩む人は多いでしょう。
若いうちならまだしも、ある程度日本で実績を積んだ場合は日本と海外で比較してしまいますよね。
家族がいるならなおさらです。
でも、残念ながら結論から書くと初めて海外転職をする場合多くの人は給与が下がる可能性が高いです。
ただ、長期的に海外でキャリアを積むのならば逆転する可能性はあります。
もちろん一概に「全員そうなる」とは言えませんが、全体の傾向をつかんでおくことは大事です。
この記事では海外転職と給料に関する一般的な考え方をまとめています。
日本と比較した視点で書いていきますので、日本に残るか?海外に飛び出すか?を判断する参考にしてみてください。
この記事の目次
駐在員は日本より給料が上がる可能性が高い
日本から海外転職を目指す場合、「駐在員(日本で転職し、日本の本社所属として海外で働く)」と「現地採用(海外で転職し、外資系企業や日系子会社の所属として海外で働く)」の2択があります。
そのうちの「駐在員」になると日本の一般社員と比較して給料が上がる可能性が高いです。
駐在員の場合は「家賃手当」や「危険手当」などの様々な手当がつく場合があります。また、会社によっては「本社からの給料」と「子会社からの給料」の2つが支給される場合もあります。
特に歴史ある大企業の場合は手厚い手当を付ける傾向があります。
たとえば「大手商社」の場合、家賃手当だけで日本の平均月給を超える手当がついたりします。
ただし、同じ「駐在員」でもベンチャー企業の場合はそこまで手当がつかないこともあります。
仮に企業規模が大きかったとしても、新興のIT企業などの場合手当は薄い傾向にあります。
例えばとある一部上場の人材紹介業企業は新興国に駐在しても手当はつきません。むしろ現地の給与水準に合わせるため日本で働く場合よりも給与は下がります。
ただし、この企業は「この条件でも行ってみたい人!」と公募しているため問題になることはありません。その条件でも海外でキャリアを積んでみたい、という人だけを集めて海外へ送り出しています。
同じ駐在員でも企業によって待遇は異なることは留意しておいた方が良いでしょう。
また、駐在員の場合はもう一つ留意点があります。それは「なかなか狙って転職できるものではない」ということです。
多くの日系企業では本社を知り尽くしている社員の中から駐在員を選びます。
また、「海外勤務前提」の求人であっても、まずは本社の海外関連部署付けとなり、いつまでも海外に転属できないこともあります。
さらに日系企業はもともと海外勤務に対する手当が厚すぎるとも言われており、最近は「コスト削減」に向けて本社付け駐在員も削減傾向に。
それでもまだ資金力がある企業は転職エージェントに依頼している場合もあるので、海外需要に強いエージェントに相談してみるとよいでしょう。
- 歴史ある大手企業の駐在員になれれば給与は上がるが、なかなか狙ってなれるものではない。
- 同じ駐在員でも新興企業の場合は日本と大きく変わらないこともある。
- 非常にレアなケースだが企業によっては日本より下がる場合もある。
国籍で働くか?専門スキルで働くか?で変わる現地採用
結論から書くと、現地採用の場合は日本で働き続ける場合よりも給料が下がる可能性が高いです。ただし、専門スキルが高ければ例外も考えられます。
まず日本人が現地採用として海外で働く場合、「国籍で働く」のか「専門スキルで働く」のか?という選択があります。
国籍で働く場合は日本と比較して給料は下がりがちです。
専門スキルを武器として働く場合は日本よりも高収入をもらえる可能性もあります。しかしいきなり日本から出て専門人材として活躍できる人は稀です。
そのため「現地採用の場合は総じて給料は下がりがち」と書きました。
以下で詳しく補足します。
国籍で働くのは海外転職の登竜門だが給料は下がる
「国籍で働く」とは日本人であることを武器にして現地採用として働くということです。
つまり「堪能な日本語」と「日本の商習慣・文化理解」を使い、日系企業や日本人を相手に仕事をすることになります(英語や現地語は使いますが、そこまで堪能でなくても働けます)。
この場合は「専門スキル」というより「日本人であること」を重視されるのでそこまで高い給与にはなりません。
たとえば東南アジアに多くある新興国で働くとします。新興国の現地採用では現地人よりは高い給与をもらえますが、日本人の平均給与よりは低いです。
国や職種により多少の幅はありますが、給与幅は月額15万円~40万円程度です。現地の管理職レベルになっても40万円程度。日本よりも福利厚生は薄くなるのが一般的なので「日本より給料が高い」とはなかなか言えません。
次に給与水準の高い先進国で働くとします。先進国では逆に現地人の平均給与よりも低くなる場合が多いです。
それでも日本と同じくらいの給与となることもあるのですが、保険や税金負担を考えるとさらに手取りが減るため「日本より給料が高い」とはなかなか言えません。
- 「日本人であること」を武器として海外で働く場合、日本で働くよりも給与は下がる可能性が高い。
- 新興国の場合はほぼ確実に日本の給与水準より下がる。
- 平均給与が高い国の場合でも、保険や税金負担で日本より下がることもある。
専門スキル人材は高収入だがいきなり目指せるものではない
同じ現地採用でも専門スキルを武器に働く場合は日本で働く場合より高収入となることがあります。
日本の経済が停滞していることを考えると、今後さらに傾向は高まるかもしれません。
このケースは「現地採用」というより「グローバル人材」と言った方がわかりやすいかもしれません。国籍関係なしのプロフェッショナルとして海外で働くことを指しています。
多くの場合は外資系多国籍企業に勤めることになります。
職種はマーケティングやトレーダー、プロジェクトマネージャー、最近だとプログラマーやIT系プロダクトマネージャーなどの需要も多いです。難易度は高いですが経営者として働くこともあります。
国籍関係なしの専門スキル人材として働く場合、給与は「世界水準」になります。
言い換えれば「世界でも優秀な人材として採用される」ことになるので給与は日本よりも高くなる傾向にあります。
日本円で年収1000万円を超えることも珍しくはありません。
特に海外ではプログラマーやエンジニアなどテック系技術職に対する報酬は日本よりも高くなりつつあります。
ただ、グローバルな専門職につくには海外での実績が必要となることが多いです。初めての海外転職でいきなり専門スキル人材を目指すのは難しいでしょう。
通常は「外資系の日本支部から海外配属を経て現地で転職」したり「日系企業の海外子会社で経験を積んでから現地で転職」する場合が多いです。
例外的なのはプログラマーです。高い技術があれば海外経験がなくても高報酬で雇われる可能性があります。ただし、その場合でも最低限の英語力は必要になってきます。
- 国籍関係なく専門スキルを武器に転職するならば、日本よりも高い給料をもらえる可能性は高い。
- ただし、海外での経験が先に必要となるため初めての海外転職だと難しい。
エリアや職種を気にしてもあまり意味はない
よく「平均給与が高い国」や「海外で高い給与がもらえる職種」を気にする人がいますが、あまり意味がないです。
平均給与が高い国に行っても、生活費が高ければそもそも意味がありません。
それに平均給与が高い国で働いたからといって、外国人が高い給与をもらえるとは限りません(特に国籍を武器にする場合)。
また、仮に給料が高い職種があってもそう簡単に職種は変えられません。海外で職種を変えるのは日本で職種を変えるよりも難しいでしょう。
当サイトでも職種については書いていますが、参考程度に留めていただいた方がよいです。
結局は日本も海外も専門性が大切ということ
勇気を出して海外に飛び出せば一気に給料が上がる、という夢物語はありません(昔はあったのかもしれませんが今はもうないです)。
結局は海外で本気で高い給料を手に入れたいなら専門性を磨かねばなりません。そして海外でそこまでの専門性が身につくなら日本でも高い給料もらえる可能性も高いです。
それでもなぜ海外で働いてみたいのか?それは給料以外のメリットもあるからです。
給料以外のメリットの方が大きい
働く以上「給料」のことは考えなければなりませんが、海外転職の場合は給料以外のメリットをも含めて検討した方がよいでしょう。
実際に海外に数年いる筆者の経験則からも、海外で活躍し続ける日本人のほとんどは「高い給料」が主目的ではありません。
「刺激を求めて海外に来る人」もいれば、「日本の働き方が合わない人」や、「日本の窮屈な雰囲気よりも海外の奔放な雰囲気が好きという人」もいます。
もちろん「仕事のやりがいを求める人」もいますし、逆に「本業は緩やかにして副業や将来的な起業を目的としている人」もいます。
海外で働く理由はバラバラですが、「給与が高いから」という理由はあまり聞きません。
「海外で働く理由」については別の記事でも触れているのでぜひご覧になってみてください。