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海外は転職回数がなぜ多い?日本との考え方を比較

海外の多くの国では転職に対する考え方が日本とは異なります。

私は今30代中盤でインドネシアに住んでおり、地元の同年代の知り合いも多くいます。

現地では最初に勤めた会社に30代まで継続して努めている人、というのをほとんど見かけたことがありません。

2回3回…と転職しているのが普通です。

日本の場合は『転職=仕事が続かないダメな人』という印象を持たれがちですが、海外ではそのようなことはありません。

それは仕事や会社そのものに対する考え方がそもそも違うからです。

この記事では海外生活で見てきた転職回数の実態や、転職に対する考え方についてまとめます。

[box03 title=”この記事でわかること”]
  • 海外と日本の転職回数に対するイメージの違い
  • 海外で転職回数が多い理由
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この記事の目次

海外は転職回数が多い?

「海外って転職回数多いんですよね?」とよく言われます。せっかくなので調べてみました。

転職回数に関する客観的なデータは見つからないので『平均勤続年数』のデータを見てみましょう。

転職回数が多い国であれば平均勤続年数は短くなり、転職回数が少ない国であれば平均勤続年数が長くなるはずです。

下記の図は独立法人労働政策研究・研修機構がまとめた、『先進国』の平均勤続年数に関するデータです。

先進国の平均勤続年数一覧(2016年時点)
引用:平均勤続年数(データブック国際労働比較2018)

日本の平均は11.9年。イタリア(12.1年)やフランス(11.4年)、ベルギー(11年)あたりも10年を超えています      。

対照的に短いのはアメリカの4.2年。圧倒的な短さですね。その他、韓国(5.8年)、デンマーク(7.2年)あたりも短いです。

先進国だけで比較してみると日本は平均勤続年数が長い方、つまり『あまり転職しない国』ということが言えそうです。

逆に圧倒的に平均勤続年数が短いのがアメリカ。実際アメリカは転職社会です。日本人にとって海外のイメージはアメリカのイメージが強いかもしれません。

 

さて、データはありませんが『アジアや東南アジア』はどうでしょう?

私が見てきた限りでは中国、そして東南アジアは全般的に転職社会です。

特に私が現在拠点にしているインドネシアでは転職が激しく、3年も同じ会社に勤めれば長い方という印象です。

その他東南アジアの国々でも似た傾向があります。

 

転職回数が多い国では転職は別にネガティブではない

東南アジアのように転職回数が多いエリアでは3年以内の転職は当たり前。1年以内での転職も珍しい話ではありません。

また、数年での転職を繰り返していたとしても理由が説明できれば特にネガティブなイメージは持たれません。

日本の場合は転職が多いと『こらえ性のない人』と思われがちです。

最近でこそスタートアップやベンチャー企業での人材流動が盛んになってきましたが、それでも3年以内の転職を繰り返せば『問題あり』と判断されかねません。

日本で転職のイメージがネガティブなのは、単純に『転職という選択肢が主流ではないから』です。

逆に海外で転職のイメージが特にネガティブではないのは、『転職という選択肢が当たり前だから』です。

この『転職への捉え方の違い』はなぜ生まれるのでしょうか?

 

海外で転職回数が多くなる理由

海外で転職回数が多いのは転職という手段がポピュラーだから、とお伝えしました。

日本とは違い、仕事を変えることが『ヘビーな人生の選択』ではないのです。

この背景にはいくつかの理由があります。

  1. 一つの会社に長く勤めるメリットがあまりない
  2. 会社よりも個人としての意識が強い
  3. 職種とポストのみが給与を決める
  4. 内部昇進よりも外部調達

 

一つの会社に長く勤めるメリットがあまりない

海外では一つの会社に長く務める『わかりやすいメリット』がありません。

日本では終身雇用神話が崩壊したとはいえ、大企業を中心に昔ながらのシステムがいまだに残っていますよね。

勤続年数によって給与テーブルが上がる年功序列制度は消えてはいません。長く務めるほど給与が上がることはあれども下がることはほぼない。

また、退職金制度がある企業では勤続年数に応じて支給額が大幅に増えます。老後の大部分を退職金に依存している人もまだまだ多いでしょう(←今後どうなるかはわかりませんが)。

そのため日本では『会社を変える=人生の大決断』のようにヘビーな印象になります。

 

一方、海外では年功序列という考え方はありません。長く勤めていようが能力がない人の給料は上がりません。むしろ能力が無ければ解雇されます。

また退職金制度がない会社も多い。退職金の支払い義務を設けている国もありますが、日本のように『長く務めるほどどんどん上がる』ということはありません。

だから会社を変えること自体への抵抗がないのです。

 

会社よりも個人としての意識が強い

海外のメール署名を見たことはありますか?

海外では個人名が先に来て、その後部署名、会社名、と記載されていきます。

日本の署名は会社名が先に来て、部署名、最後に個人名となるのが一般的です。

署名の書き方が示すように、海外では会社としてより個人として仕事をしている意識が強いです。

商談でも名刺に書かれている肩書の優先順位は低く、目の前の個人と仕事をしている感覚があります。

そのため日本と比べると会社へ対する帰属意識がそこまで高くはありません。

会社で上り詰める、というよりも個人として高く評価される方が重要です。

 

職種とポストのみが給与を決める

海外では同じところに長く勤めても給料は上がりません。給料を決めるのは職種とポストです。

能力が認められ、良い職種・ポストに就くことができれば、年齢に関係なく相応の給与が支払われます。

そのため目の前に魅力的なジョブオファーがあればどんどん転職してチャレンジしていくのが基本スタンス。

それが給料を上げていく最短で効率的な道だからです。

 

内部昇進よりも外部調達

海外の企業で新しいポストができたり、欠員が出た場合は内部からではなく外部から調達するのが一般的です。中から引っ張り上げるより、まず外から適任者を連れてくる方向で考えます。

これは、会社側も従業員側も『長期就業(雇用)』という大前提がないからです。

もちろん能力が認められれば組織内でより高いポストへ昇進していくことは可能です。

ただ、内部昇進を待つよりも外部で上位ポストを見つけ、飛び込んでいった方がスピードは速い。

別の言い方をするならば、『今いる会社で働いているのは、次のポストへ転職するためのステップ』ということです。

社内で昇進するためではなくCV(≒履歴書)に書く経験を積むために働いている感覚です。

給料は転職で上げる!?海外と日本の転職事情の違い

 

日本も変化していく?

海外では転職自体がキャリアアップの手段としてポピュラーである。そのため転職回数が多くてもネガティブではない、ということをお伝えしました。

さて、日本はどうか?

日本も転職に対する考え方を社会全体で変えるべき時が来ています。

終身雇用神話が崩壊した今、会社に依存するのではなく個人の実力を高め続けなければ生きていくことはできません。

ビジネスのスピードが加速していることを考えると、企業側も無用な人間に長く居座られるより、その時々で必要な人材を外部から調達していった方が効率的です。

100%海外のようになる必要はありませんが、少なくとも2回3回の転職がマイナスにならない程度にはなって欲しいところです。

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