駐在員が海外赴任の任期中に転職することはできるのでしょうか?
結論、できます。
海外駐在員とはいえども従業員ですので職業選択の自由を奪われることはありません。
ただし、少しだけ海外ならではの配慮が必要です。
[box03 title=”本記事でわかること”]- 駐在任期中の転職活動の進め方
- 退職時のお作法や考え方
- 駐在任期中の転職で気を付けたいこと
この記事の目次
海外赴任中の転職は可能なのか?
結論からお伝えすると、海外赴任中であっても日本国内と同じく転職は可能です。
「一人あたりに多大なコストがかかっているから…退職させてもらえないのでは?」と不安になるかもしれませんが大丈夫。
駐在員であっても一従業員という立場は変わりません。
日本国憲法には『職業選択の自由』というものが定められており、原則的に会社は従業員の転職を止めることも制限を加えることもできません。
別途『競業避止義務』を契約書で結んでいる場合は訴訟を起こされる可能性がありますが、『海外赴任中だから』ということで何か特別な拘束力が発生することはありません。
帰国時の飛行機代や引っ越し代については企業の規定によります。特に退職者規定が定められていない場合は通常の帰国ルールに則るのが一般的です。
海外赴任中の転職活動の進め方は?
日本国内の企業へ転職を希望する場合は、以下の流れが一般的です。
- 日本の転職エージェントに登録
- 志望企業に申し込み
- オンライン面接【企業による】
- 一時帰国に合わせて対面での面接
- 内定
海外在住者の場合は対面での面接のタイミングが限られてしまいますが、その旨をあらかじめ伝えておけばまったく問題はありません。それでも海外経験者を欲しがる企業というのはあります。
現地採用として転職する場合は、現地企業に直接申し込んだり、現地の転職エージェントを起用することになります。内定までの全体の流れは日本での転職と変わりません。
「海外の日本人村は狭いから途中で会社にばれるのでは?」と思うかもしれませんが、普通に転職活動をする分にはまず漏れることはないでしょう。むしろ、面接を日本で行う場合はばれにくいです。
ただし同国内・同業界を希望して転職する場合のみ、やや注意が必要です。
稀ではありますが日系企業同士で「同国内・同業界内からの日本人採用禁止」という紳士協定を結んでいる場合があります(本当にレアなケースではありますが)。
その場合採用はもちろんされませんし、転職活動をしたという事実が漏れる可能性もゼロではありません。
業界内の暗黙の了解というやつなので、しばらく駐在員として在籍していればわかることだとは思います。
転職理由はどうするべきか?
駐在員として海外勤務をしている場合、職場の人間関係は非常に限られますよね。そのため転職理由の大部分は『上司とそりが合わない』、『ローカルメンバーとの衝突』など人間関係が原因です。
ただその理由をそのまま伝えてしまうのは悪手。面接相手が海外をよく知る人の場合は「同じことを繰り返すのではないか?」と捉えられるでしょう。
『明らかに契約上の違反があった』のようなケースは別ですが、通常はことさら環境要因を強調することは控えた方が無難です。
『海外への転職』でも『海外からの転職』でも、人を見るポイントは『国内転職』と変わりません。
- 何を達成(貢献)したのか?
- 問題が起きた時にどう対処したか?
- その結果どうなったか?
- 今後自分はどうしたいのか?
- どのように貴社に貢献できるのか?
を前向きに説明できるようにしておきましょう。
退職意思はいつ伝えるのがベスト?
日本国内と同じく、通常は1カ月前に告知をします。
ただ、海外の場合は人材の補填が非常に難しい場合もあります。つまり会社側としては1カ月では何も対応ができないこともある、ということです。
どのような状況でも1カ月で辞めることは可能ですが…ここはあなたと会社…というよりあなたと会社の同僚や上司との関係値によります。
個人的には『できることなら円満退社をするに越したことはない』と考えています。
『海外赴任中である』という状況を転職先にも理解してもらい、入社時期に柔軟性を持たせてもらうのがベストでしょう。
ただし『6カ月』などはあまりに長すぎますし、内定自体が取り消される可能性もあります。通常は1カ月のところを2か月まで待ってもらう、などの調整をします。
任期中の退職は迷惑がかかる?
日本国内の転職よりも、もしかしたら残された人たちの負担は大きいかもしれません。
しかし程度の差はあれども、日本だろうが海外だろうが状況は同じ。退職者が出ると会社に負担はかかりますが会社とはそういうものです。
個人があまりに会社のことを心配になりすぎていては転職なんてそもそもできません。
『今日で会社辞めます!明日から来ません!』のような、非常識な対応でない限りは毅然とした対応を取りましょう。
最後に
海外勤務は楽ではありません。時に耐えることも必要です。
ただ状況によっては『それ以上同じ環境で耐えていてもメリットがない』ということもあるでしょう。
たとえ任期中であっても『転職』という手段があることを忘れずに、キャリアを考えてみてください。
知らないうちに市場価値が上がっていることもありますよ。