海外に転職・就職を考える際、アジアを選択肢として考える人は多いでしょう。
この記事ではアジアで働くメリット・デメリットをまとめています。
現地で実際に見聞きした視点を交えて記載します。
この記事の目次
日本人が増えるアジア
昨今アジアで働く日本人の数が増えています。
外務省が毎年発表する在留邦人調査の2016年度分によれば、日本人が多く住む国TOP5に中国とタイが入っています。
アジア全体では登録者だけで39万2,216人の在留邦人がおり、これは「世界で働く日本人の3.5人に1人はアジアで働いている」とも言えます。
なぜこれほど日本人が増えているのでしょうか?
答えはシンプルで経済成長しているから。アジア全体もそうですが、昨今では特に東南アジアの成長が著しいことが理由になっています。
多少の浮き沈みはあるものの、日本のニュースでも「東南アジアの経済成長」を聞かない日はないのではないでしょうか。
ひと昔前、東南アジアと言えば安い労働力を狙って生産拠点として工場を建てる程度でした。一方、現在では成長する内需を狙い日本含めて世界中の様々な企業が投資を進めています。
日系企業の求人も多く、駐在員、現地採用含めて働く日本人の数は引き続き増えていくでしょう。
アジアに海外転職するメリット
アジアでの求人が増えているものの、実際に今アジアで働くメリットは何でしょうか。実際に現地で働いている知見を踏まえ、いくつか挙げてみます。
[box05 title=”アジアで働くメリット”]- 新興国での働き方(タフさ)が身につく
- 多様な宗教、文化を知ることができる
- よくも悪くもフランクな環境で働ける
- 観光地に簡単に行ける(リゾートや世界遺産)
- 日本人は比較的働きやすい(距離も近く、差別や偏見が無い)
- 第三言語含めた語学力が身につく
- 日本では考えられない人脈ができ人生の視野が広がる
新興国での働き方(タフさ)が身につく
アジアのほとんどの国は発展の途上にある、いわゆる新興国。先進国の日本とは置かれている環境が違います。
足りないものだらけの新興国ではすごいスピードであらゆることが変化していきます。また、その中で生きる人たち、企業達もパワフル。
そのような中で生きていくためには自ずと「タフさ」が必要になります。日本語が通じず言葉が不十分な中、自ら環境を切り開いていく経験は何事にも代えがたい財産となります。
間違いなく日本国内に引きこもっていたのでは得られないタフさが身につきます。
多様な宗教、文化を知ることができる
アジアの国のほとんどは何かしらの宗教が深く根付いています。また、国によっては多宗教が深く広く根付いている国もあります。例えばインドネシアでは6つの宗教が深く生活と関連しています。
住んでいると自ずと各宗教と触れることになり、人々が宗教とどのように接しているのかを直に感じることができるでしょう。
また、陸続きで隣接しているアジア各国では「一国一民族」なんてことはほぼありません。多様な民族が同じ国民として同居しています。さらに、他国から働きに来る人たちの数も多く、まさに人種のるつぼ。
そして人種の数だけ文化があります。多様な人種の中で触れる文化はまさに「世界」を感じる一歩となるはずです。
よくも悪くもフランクな環境で働ける
東アジアも東南アジアも、大概は日本と比べると就業環境が「フランク」です。
朝9時にピタっ!と出社して、12時から1時まで昼ごはんで、就業中は会話禁止、18時に退社!なんて会社はまずありません。
フランクさは国によって異なるので何とも言えませんが、間違いなく日本にいた時より緩い環境にはなるはずです。
日本のように無駄な締め付けが無い雰囲気で働けるのは嬉しい反面、この緩さは一長一短。本人が緩めようと思えばどこまでも緩んでしまうリスクもあります。
現地に順応していきながらも、日本人としての感覚はどこかで忘れないように維持しておきたいものです。
観光地に簡単に行ける(リゾートや世界遺産)
アジアには観光地が多く点在しています。働いている国の観光地はもちろん、他国とも距離が近いためまるで国内旅行の感覚で様々な観光エリアを訪れることができます。
日本からだと10万円以上かかるリゾートや世界遺産への観光も、数万円で行けてしまうことも。
その地の利を生かして海外で働いているうちにダイビングの免許を取ったり、という人も少なくありません。
東南アジアだと日本人は比較的働きやすい(距離も近く、差別や偏見が無い)
誤解を恐れず書きますが、欧州や米国の場合、少なからず黄色人種に対する差別意識があります。実際に欧州・海外で働いた方の話を聞くと、少なからず何かしらの差別を感じたことがあるという方は少なくありません。。
一方、アジアでは同じアジア人ですし、特に東南アジアでは日本に対しては友好的な人たちが多いのでほとんど「差別されている」と感じることはありません。
また、距離も働きやすさの一つ。
海外でありながら日本からは飛行機で数時間の距離です。いざという時に日本へ帰ろうと思えばすぐに帰れる、というのは心理的にも助けられます。
第三言語含めた語学力が身につく
職種によってばらつきはありますが、海外で働くならば少なからず英語が必要になります。仲間とのコミュニケーション、顧客との会話を通じて鍛えられる英語力はまさしく「本当の語学力」です。
また、アジアの場合は「現地語」が必要なことも多々。第三言語となる現地語をマスターしてしまえば「トリリンガル」となり労働市場価値が上がります。
仮に英語が不十分でも、アジアの言葉を操れることはこれからの時代を生きる上で大きな力となることは間違いありません。
日本では考えられない人脈ができる可能性がある
日本で生活していると、人生の中で会える人間というのはかなり限定されるでしょう。多くは会社や業界関連。まれに趣味を通じて他の企業の人たちと…というあたりでしょうか。
アジアの場合はそこにいる人たちの種類も、質も、本当に多種多用です。また、思わぬところに日本では考えられないほどの大富豪がいたりもします(アジアの富裕層はぱっと見た感じだとわからないことが多い)。
例えば、ふとプライベートで出会った友人が華僑でいくつものファミリ―ビジネスを手掛けていたり、というのも珍しい話ではありません。
そのような出会いは自分の視野を広げ、さらに人生の選択肢も広げてくれます。
個人的にはこのメリットが一番目立ちませんが、実は一番大きいのではないかと感じます。実際、現地で得た人脈を使って就業しながら副業したり…という方もいます。もちろん、そのまま起業される方もいます。
アジアに海外転職するデメリット
あまり大声では語られませんが、アジアで働く故のデメリットもあります。ここではあえて大声で語ってみます。
[box05 title=”アジアで働くデメリット”]- 現地採用であれば給与は下がる
- 健康面での問題が生じる可能性がある
- 日本での仕事が合わなくなる
- スキルアップはすべて自分次第になる
現地採用であれば給与は下がる
アジアで現地採用される日本人の給与は、国によりばらつきはあるもののおおよそ20万円です。
駐在員であれば手当により手取り給与が上がる可能性はありますが、現地採用として働く場合は給与が下がることが多いです。
ただ、最近は現地採用でも専門化や管理職化が進んでおり、中には50万円以上を得る人もいます。
駐在員が削減傾向にある昨今、現地採用の役割や給与は向上していくのかもしれません。
健康面での問題が生じる可能性がある
アジアの医療レベルはお世辞にも高いとは言えません。また、不慣れな生活による栄養不足や運動不足、都市圏では公害問題が生じている場合もあります。
健康面については日本にいた時以上に気を配らなければなりません。また、持病がある方は現地で薬が手に入るかどうかは事前に確認する必要があります。
テロや犯罪の可能性がある
アジア各国は基本的に治安が良いとは言えません。
自分が外国人であるということを忘れて活動してしまうと、思わぬ事故や犯罪に巻き込まれる可能性もあります。海外では自分の身は自分で守る、ということを意識し続けなければなりません。
ただ、テロや犯罪については日本より治安が良い国はほとんどありません。あまりここに拘り過ぎてしまうと、海外で働くことはそもそもできないでしょう。
日本での仕事が合わなくなる
メリットで「フランクな環境」と書きましたが、逆の見方をすればデメリットに転じます。あまりにアジアの仕事の仕方に慣れてしまうと、日本の社会が窮屈に感じるようになります。
仕事に対する、時間、品質、確認、責任、すべてにおいてアジアにはアジア流の感覚が流れています。
柔軟に自分が変化していかなければ結果を出すことはできませんが、あまりに順応しすぎると戻れなくなる可能性があることは心のどこかに留めておきましょう。
何事も大切なのはバランスです。
スキルアップはすべて自分次第になる
外資系企業、日系企業の子会社、いずれに場合にしろ日本のような研修やスキルアップの精度はほぼ存在していません。
海外においては自分の能力開発は自分の責任です。同じく、キャリアや給与アップも自分の責任です。
人任せな性格の場合、「なんとなく海外生活には慣れたけど特にスキルが上がっていない」という事態に陥ります。
しっかりと海外で働いている目的を忘れず、自己研鑽に励みましょう。
まとめ
今後数十年、間違いなくアジアは世界経済の中心を担っていきます。早い内にアジアを知っておくことは今後のキャリア形成にプラスになるでしょう。
一方、デメリットも確実に存在しています。きちんとデメリットを見定めた上で、対策を持ってアジアへの海外転職へ挑んでください。
アジアについては別記事でも触れているので参考にしてみてください。