海外への転職を考えている人の中には「他の人たちはどういう理由で海外を選んだのだろうか?」と気になることもあるでしょう。
日本国内の転職と比べて、海外への転職では「身近なケーススタディ」というのが多くはありません。
一方で一度海外に出てくるとそこには「海外で働く日本人」だらけです。つまりケーススタディだらけ。
この記事では東南アジアで転職コンサルタントといて働く筆者が、「海外で働く日本人がどういう理由で海外を選択したのか?」をご紹介します。
この記事の目次
理由① 英語を使いたいorマスターしたい
「海外で働きたい」という理由で最も多いと言っても過言ではないのがコレ。
昔から英語に憧れていたり、学生時代に英語に深くのめり込んでいたりと理由は人それぞれですが「このまま日本にいても英語を使う機会がない」という。
すでにある程度英語が使える人であれば筋の通った理由です。
ただ、「海外へ行けば英語を使えるようになる」と考えている場合は要注意。
海外でも日系企業であればほとんど英語を使わない環境もあります。海外だろうが日本国内だろうが英語が上達するかどうかは環境&努力次第。
そういう意味では、英語が海外への動機になっている人は必ずしも海外へ飛び出す必要はないとも言えます。
今一度「なぜ英語を使えるようになりたい?」「英語を使って何がしたいのか?」を深堀してもいいかもしれません。
理由② 新しいチャレンジをしたい
このパターンは2つのパターンに分かれます。
1つめは「日本で働き続けた先のキャリアが見えてしまった」パターン。
この手の方は日本での仕事が別にうまくいっていないわけではありません。
むしろ横から見るとそれなりに順当なキャリアを進んでいるように見えます。
だからこそ逆にその業界でそのまま進んだ5年後10年後の姿が見えてしまうのかもしれません。
「もっと自分の可能性を広げたい」という気持ちを強く持っています。
2つめのパターンは「日本ではどうしようもないので海外で逆張り」のタイプです。
就職氷河期で就職先がなく、泣く泣く海外へ活路を見出そうとした人たちもいます。
また最近の若い方でも「日本で働いても幸せになれないから…」という方もいます。
ただ、実際に海外で働いている立場から言わせてもらうと、日本で活躍できないからといって海外で活躍できるわけでもありません。
むしろ海外の方が「厳しい」ことはたくさんあります。
この手の理由の方は本当に海外に行くか否か自体を考え直した方が良いでしょう。
理由③ 新興国にはチャンスがある
アントレプレナータイプで、「将来は起業したい」や「事業を作りたい」という理由の下、新興国で働く道を選ぶ人もいます。
社会の課題にはビジネスチャンスが眠っています。そういう意味では新興国にはまだまだ解決すべき課題が山ほどあります。
また、日系企業の進出も多いので日系企業をサポートするだけでもビジネスにつながる可能性があります。
ただ実際に事業をしている身として率直に物申すと、人種も言葉も商習慣も異なる新興国で成功するのは日本より難しいと思います。
海外で事業を興すバイタリティがあるのであれば日本でもできるはず。
なぜ母国ではなく海外で事業を興したいのか?を突き詰めて考えておく必要があります。
理由④ これからの日本と日本人は海外で戦えなければダメ
海外旅行中や、海外との仕事を通じて「日本の弱さ」を感じる人もいます。
実際に海外で働いていると、近隣国の中国や韓国と比べて日本の印象は残念ながら薄い。
また東アジア以外にも東南アジアから強い企業は日々生まれています。
海外で戦える、そして海外と戦える日本人の存在は今後ますます重要になってくるでしょう。
ただし、強い愛国心があっても自分自身の能力が高くなければ実現できません。
海外に出てきた後にどのように進んでいくのか?どのようにスキルを高めていくのか?を具体的に考えておいた方が良いでしょう。
理由⑤ 日本の良さ(技術や品質)を海外に伝えたい
この手の「愛国心」パターンの人は海外で働く理由もはっきりしていますし、モチベーションも高いです。
一度海外に出てくると日本の何でもないようなことが海外では実現できないことに気づきます。
買い物で使うビニール袋の品質一つとっても日本の技術力というのは相当なものです。
ただ、この「日本を伝えたい」パターンの方は日本の押し売りにならないよう注意が必要です。
例えば「和食」の例がわかりやすいかもしれません。
海外に来ると「なんちゃって和食」のような、日本人が食べると明らかに美味しくない和食屋もたくさんあります。
これを見て義憤にかられ「私が本当の日本食を広めるんだ…!」となる方がいますが、本当に本物の和食がそのエリアに必要なのか?を忘れがちです。
ビジネスはニーズがないと成り立ちません。消費者の好みや都合を無視して「日本!日本!」となるのは本末転倒ですのでご注意ください。
理由⑥ 外国人や異文化の中に身を置きたい
昔に観た映画やドラマに憧れて…、過去に訪れた海外旅行の刺激が忘れられなくて…と背景は様々ですが「とにかく外国人と働きたい」というタイプです。
よくこの手の理由を挙げると「そんなに海外甘くない」と言ってくる人もいますが、私個人としては明確で良い理由だと思います。
ただし、映画や旅行で垣間見える「海外」と、実際に暮らして見える「海外」は異なりますのでご注意ください。
理由⑦ その国orその都市が好きだから
「その国でどうしても働きたい」という強い気持ちがあるのであれば、それは立派な理由になります。
軽い理由に思われがちですが、意外にこの手のタイプがきちんと足場を固め、最後まで残ります。
理由⑧ 配偶者がその国の人
多くはありませんが稀にいます。日本で結婚をし、配偶者の都合に合わせて配偶者の本国へ一緒に帰国するタイプです。
理由⑨ これからは海外の方が稼げる
職種によっては海外の方が評価されやすい職種というのはあります。特に欧米諸国ではスキルさえあれば技術者は高く評価されます。最近だと特にIT技術者の差が話題になりがちですね。
ただ「普通の日本人」にとってはやはり日本が一番稼ぎやすい国です。海外でも戦っていくスキルや強いモチベーションがある場合のみ、海外を選択するとよいでしょう。
https://kaigai-tenshoku.net/abroad-vs-domestic-career/
理由⑩ 実は生まれがその国
かなりレアケースですがたまにいます。生まれがその国だったり、両親のどちらがその国出身だったり。皆さん言うのが「架け橋になりたい」という言葉。
このタイプで一つだけ注意して欲しいのは「生まれや片親がその国だったからといって、仕事やビジネスが簡単にできるわけではない」ということです。
言葉が流暢であれば別ですが、仮に日本で育ったとするならば日本で培ってきた人脈などの基盤は本当に重要。
海外に渡るにしても架け橋となるのであればどちらかで培った基盤をきちんと使えるような仕事・ビジネスから始めるべきでしょう。
企業面接では「理由」に加えて「メリット」を考えて
ずらっとよくある「海外へ転職する理由」を並べてきました。理由に優劣はなく、どの理由でも立派な理由になります。大切なのは自分の中ではっきりとした理由を持っておくことです。
ただ一点ご注意いただきたいのは、「転職の面接」でこれらの理由をそのまま使うのはNGという点です。
転職の場合はこの理由に加え、「それが企業にとって何のメリットがあるのか?」を加えなければなりません。
もちろん理由の軸足をずらす必要はありませんが、伝え方は少し気を付けた方が良いでしょう。そのあたりも機会があればTIPS的にまとめてみたいと思います。