「現地採用で海外に転職したいけど、キャリア的に大丈夫かな…?」と悩んでいますか?
先に結論を書くと、最近は現地採用でも海外経験として評価してくれる日系企業が増えてきています。
ただ、駐在員と比べて現地採用というのはイメージが湧きにくいかもしれませんね。
その上、調べてみると「現地採用はやめておけ」という情報が多く散見します。
実際に現地採用でキャリアアップしていくのは決して簡単なことではありません。一般的な日本人の感覚だと『厳しい道』となります。
一方、現地採用をきっかけに海外経験を積み、キャリアアップしている人がいることも事実です。
この記事では現地採用の『厳しい面』を伝えつつも、『海外現地採用のキャリアパス』についても最新情報を交えてお伝えします。
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この記事の目次
現地採用を取り巻く環境
まず大前提となる、現地採用を取り巻く環境をお伝えします。
ちなみに筆者は現在インドネシアを拠点にしています。
よって東南アジアでのお話と思っていただいてけっこうです。
日系企業の現地採用が超えられない駐在員の壁
当ブログでも何度も書いていますが現地採用と駐在員の間には大きな壁が存在しています。
まず駐在員は原則終身雇用ですが、現地採用は業績が悪ければ解雇されるリスクがあります。
また待遇面でも駐在員は高い給与に手厚い手当がつきますが、現地採用は給与が低く手当も最低限。
さらに全員がそうだとは言いませんが、駐在員の中には現地採用社員を見下している人も少なくありません。
好待遇で報酬も高い自分たちは偉い…と感じてしまうのかもしれませんね…
駐在員と現地採用の差についてはこちらの記事もご参照ください。
現地採用の給与は上昇しない
本社の正社員とは異なり、海外子会社には『現地採用社員のキャリアパス』というのはほぼ存在しません。
そのため現地採用社員を育てたり、社内で昇進させる、ということはまずないです。
企業にとって現地採用社員は現場管理や営業用の「パーツ」である、という考え方が強いでしょう。
また、日本の経済が20年に渡り停滞しているせいなのでしょうが、現地採用の給与レンジというのはここ20年ほとんど変わっていません。
例えば私が現在滞在しているインドネシアだと、20年前の現地採用の最低報酬は月額1600USDあたりだったそうです。
2020年になろうかという現在でも最低報酬は同じ額です。
現地ではローカルの最低賃金も物価も上昇しているのに、現地採用社員の給与は変化無し。
最近ではローカル専門職の方が高い給与をもらっているケースも生まれています。
ただし現地採用には自由度がある
現地採用にはマイナスなことばかりではなくプラスな面もあります。
それは自由度です。
配属のタイミングや任期が不安定な駐在員に対し、現地採用の場合は自らの意思で移住時期や帰国時期を決めることができます。
また駐在員の場合は週末接待ゴルフや本社アテンドが多いですが、現地採用の場合はそこまで求められることは少ないでしょう。
この自由度を利用して、副業やスモールビジネスを始める現地採用者もいます。
現地採用のキャリアパスの選択肢
あらためて書いてみるとネガティブな面が目立つ現地採用。
「現地採用はキャリアにならない」という言葉もありますが、実際はどうなのでしょう?
実際に海外で見てきた『現地採用のキャリアパス』をお伝えします。
[box04 title=”現地採用からのキャリアパス”]- 現地で駐在員待遇へ転籍
- 本帰国して日系企業へ転職
- 現地で外資系専門職へ転職
- 複業&独立
①現地で駐在員待遇へ転籍
珍しいケースではありますが、能力が評価された場合は『駐在員待遇で採用』されることがあります。
『すでに現地に事業の根を張っており、長期的に日本人が必要な企業』の場合に限定されますが実際にあるのです。
私の知っている方は現地採用として働いていましたが、現地の方との結婚を機に退職を考えていました。
退職意向を伝えたところ、激しい引き留めに会い、ついには駐在員待遇の現地社員として迎えられました。
ただし、このパターンは「高い個人の能力」と「企業側の条件」の2つが揃わなければなりません。あまり狙ってできるキャリアアップではないことは伝えておきます。
②本帰国して日系企業へ転職
最近増えているのがこのパターン。
海外経験を活かして日本で海外志向の強い企業へ転職するパターンです。
日本の経済状況を考えると、日系企業の海外進出は必須命題。
ひと昔前まで海外進出は一部の大手企業だけの問題でしたが、現在は違います。
中小企業やスタートアップ系企業でも積極的に海外市場を狙っています。
その際に、海外を知らない人より、すでに海外経験も耐性もある人が評価されやすいのは自然なことでしょう。
特に最近では、資金が潤沢なIT系スタートアップ企業や、大企業の子会社が好待遇で海外担当者を調達するケースが目立ちます。
私の知っている例でも、現地採用で決して良い待遇ではなかった若い方が、帰国後に転職。同世代の中でも比較的高い報酬を得た方がいます。
「現地採用はキャリアにならない」という意見がありますが、それは働く人と働き方次第。
海外でしっかりと目標を持って働いた期間は、間違いなく今後の日本では評価されていくでしょう。
少し時代の潮目が変わってきたかな、と感じる部分です。
③現地で外資系専門職へ転職
海外で日系以外の会社へ専門職として転職する方もいます。
このパターンはさらに2つに分かれます。
外資系の日系企業担当
日本人や日系企業を顧客とする(したい)会社へ『日系担当』として転職するパターンです。
特に日系企業の進出が多い東南アジアでは需要のあるポストです。
現地企業に雇われる人もいれば、最近は韓国や中国企業に雇われる人もいます。
特に最近の中国企業では待遇も悪くありません。
ただ、外資系企業は能力が無ければすぐに雇用解除されます。
解雇リスクはつねに念頭に置いておくべきでしょう。
外資系グローバル企業の専門職
いわゆる「マルチナショナルカンパニー」と呼ばれる多国籍のグローバル企業へ専門職として転職するパターン。
多国籍人材の中で純粋に「能力」を武器に戦うこととなります。
海外で会社員として働く場合には最も難易度が高いですが、最も報酬が高い選択肢でもあります。
また、このクラスで働くことができれば将来海外で路頭に迷うことはありません。
グローバル企業での経験を武器に、日系大手の幹部として凱旋転職する未来もあるでしょう。
「世界で外国人と渡り合える日本人」というのは需要がある反面、慢性的に不足しているのです。
④複業&独立
あまり外に情報は出ませんが、意外に多いのがこのパターン。
現地採用として働き始め、長期的に滞在していることを武器に自分で事業を始めてしまうとう選択肢です。
最近はメディアやブログでも「海外で自由に生きよう」という切り口で紹介される働き方ですね。
実際にこのような生き方をされている方は海外では少なくありません。
ただし『誰しもができるわけではない』ということも伝えておきます。
起業にしろ独立にしろ、難易度が高いのは日本も海外も変わりません。
むしろ文化も商習慣も違う海外で成功する方が難しいでしょう。
現地採用をキャリアにするためには目的を持って働くことが重要
ご紹介した中で最も現実的なのは「本帰国して日系企業へ転職」のパターンでしょう。
現在はまだ少ないですが、今後減ることなく増え続けます。
ただし、漫然と働くだけではチャンスも活かせません。
ただでさえ、海外ではだらだらと長く働けてしまうもの。
しっかりと目的意識を持って、客観的に自分を見ながら働くことが大切です。
そのような働き方ができれば、国内だろうが海外だろうがキャリアアップは可能です。