「いつかは海外で働いてみたいけどもう30代…今行くべきなのか?そもそも転職できるのかな?」と悩みがちなのが30代です。
結論から書くと30代で海外未経験でも海外転職は実現できます。ただ、20代とは異なる30代ならではの注意点もあります。
この記事では実際に多数の海外転職者を見てきた私が、30代で海外転職する注意点やメリット・デメリットをまとめています。
何を隠そう私自身が海外へ転職したのも30歳の時でした。友人知人にも30代が一番多いです。できるだけ等身大で書いていきます。
この記事の目次
30代で海外転職する際の注意点
転職活動を開始する前に、30代のあなたに知っておいてほしい注意点をまとめます。
以下は30代が初めて海外転職を目指す際に知っておくべき事項です。
- ポテンシャルではなく専門性
- 新興国への求人が多い
- 現地採用>駐在員
- 家族やライフイベントとの事前調整必須
①ポテンシャルではなく専門性
30代になると企業側も専門性を求めてきます。他業種・他職種からの転職者よりも、同業種・同職種からの転職者が重宝されます。
また、中には海外勤務経験が必須になっている求人も少なくありません。
海外勤務がまったくない場合は職種やエリアが限定される可能性が高いでしょう。
②新興国への求人が多い
初めての海外転職であれば、先進国でなく新興国での求人が多くなります。また、新興国でも特に東南アジアが多くなるでしょう。逆に欧米での求人はほぼないと思ったほうが良いです。
理由は明確で、東南アジアでは「就労ビザの取得コストが低い」、「新規市場なので未経験者でも活躍できる可能性がある」からです。
逆に欧米ではビザ取得コスト(費用も難易度も)高く、すでに事業が出来上がているので未経験者を送り込むのはリスクが高いのです。
③現地採用>駐在員
誤解のないよう明確に書きますが、30代で海外未経験であれば圧倒的に現地採用求人が多くなります。また、日本の正社員と比較するとほとんどの場合、手取りの給与は下がります。
駐在員求人は数が少なく、さらに海外経験者を優先して紹介していくため出会える可能性は低いです。
④家族やライフイベントとの事前調整必須
独身であれば「婚期」について、既婚者であれば「家族」について事前に考えておきましょう。
特に家族については重要です。家族のケアも考えておかないと、転職は成功したものの家族のケアが負担となり仕事どころではない、という状況もあり得ます。
詳しくは「デメリット」のパートで後述します。
30代で海外へ転職するメリット
まずはメリットから見ていきましょう。
[box03 title=”30代で海外転職するメリット”]- 日本より一段上のマネジメント経験を得られる
- 専門性がかなり高く評価される
- 実力次第で高給取りへの道が開ける
日本より一段上のマネジメント経験を得られる
30代で海外転職する一番のメリットはマネジメント経験を得られることです。これは駐在員でも現地採用でも変わりませんが、日本よりも一段か二段高いポジションに就ける可能性が高いです。
海外では当たり前ですが日本よりも日本人人材が不足しています。企業側も「現場要員」として何人も日本人を雇う余裕はありません。できれば日本人には難易度の高い「管理職ポジション」についてもらい、現地スタッフのマネジメントを任せたいというのが本音です。
そのような背景もあり、すでに長い社会人経験がある30代は海外では管理職として歓迎されやすいのです。
また、実際に管理職に就いた後の経験も日本では得難いものがあります。
言い切ってしまいますが日本人の部下を管理するよりも、外国人の部下を管理する方が数十倍難しいです。「阿吽の呼吸」が存在しない世界でいかに的確に、効率的にチームを管理していくのか?を常に考え続けなければなりません。
別の言い方をすると海外では小手先じゃない「本当のマネジメント力」が身につきます(身につかないとやっていけません)。
この「外国人をマネジメントした」という経験は海外で働き続けるにしても、日本に戻ったにしてもあなたの代表的なスキルとなります。
専門性が高く評価される
海外では専門職は歓迎されます。外資系企業の場合は文化的に専門職を評価する傾向がありますし、日系企業の場合でも「日本語を話せて海外で働ける専門職」というのがまだまだ少ないからです。
少なくとも同じスキルを持っているのであれば日本よりも海外の方が評価はされやすいでしょう。
ただし、専門性が評価されてもそれがそのまま給与に繋がるか?はまた別の話です。あくまで海外経験が無い中での評価です。
海外経験が無い、というマイナスを専門性が埋めてくれるイメージを持つとわかりやすいかと思います。
実力次第で高給取りへの道が開ける
日系企業ではなく外資系企業(多国籍企業)へのキャリアも考えていった場合、日本で働くよりも圧倒的に高い給与を得られる可能性があります。
日系企業ではまだまだ年功序列の考え方が一般的ですが、海外では実力主義が一般的です。
日本では30代といえば「まだまだ中堅」という大企業も多いですが、外資系では部門責任者レベルのポジションが少なくありません。
高い役職での給与は日系よりも外資系の方が圧倒的に高いケースが多いです。日本とは異なり、海外では創業者でなくとも雇われCEOが数億円の報酬を得ていることからも明らかです。
もちろん高い専門性と成果が求められる世界ではありますが、ビジネスエグゼクティブへ向けた選択肢が増えることも働き盛りの30代で海外に出るメリットの一つでしょう。
30代で経験を積み、30代の経験を武器に40代で大きく広げるイメージです。
30代で海外へ転職するデメリット
メリットもあればデメリットもあります。包み隠さずに正直に書きます。
[box03 title=”30代で海外転職するデメリット”]- 日本へ戻る選択肢は限られる
- 人生設計や家族との調整が必要
- 日本との違いに戸惑いがち
日本へ戻る選択肢は限られる
20代と比べてしまうと日本へ戻る選択肢は限られます。これは日本でも30代となると「専門性」を求められるからです。
たとえば「ただ海外で働いていました」という人材がいたとします。この場合20代ならば「またゼロからやり直しましょう」と採用される可能性がありますが、35歳以上になると厳しくなっています(日本はなぜか35歳が一つの区切りとなることが多い)。
ただ、これは日本にいても海外にいてもあまり変わりません。30代も中盤を超える転職になるとどこにいようが「専門性」が求められるということです。
海外で培った経験を明確に説明することができれば日本→海外→日本の流れも十分あります。
海外展開を狙う日系企業は今後増えていくので、今後日本国内でも海外を知る人材の需要が増えていく可能性があります。
人生設計や家族との調整が必要
30代はライフイベントの多い世代です。すでに結婚して子供がいる人も多いですし、独身だったとしても30代で結婚しておきたい、という人もいるでしょう。
30代は他の世代と比べてプライベートで調整が必要な事項が増えがちです。
海外にいるとプライベートでできることにはどうしても制限がついて回ります。子供がいる場合は日本人学校にいれるのか?インターナショナルスクールに入れるのか?など考えるべきことが出てきます。配偶者のことも考えなければなりません。
現在独身でも恋人がいる場合は将来のことを決めておいた方が良いでしょう。また、現在恋人がいない場合も、結婚願望があるのであればあらかじめ対策は考えておいた方が良いです。海外だと日本人同士で独身男女が出合う可能性はほとんどありません。
日本との違いに戸惑いがち
30代にもなってくると専門性が高い反面「この仕事はこういうやり方でなければだめ」と決めつけてしまいがちです。なまじ油の乗っている世代なので顕著です。
しかし海外の仕事で日本流をただ押し付けるだけでは何も進みません。結果仕事で戸惑ってしまうことが多くなります。
私自身30歳で海外に出てきましたが、最初はどうしても日本流のやり方から抜け出せず苦労しました。
もちろん40代や50代と比べればまだまだ柔軟に吸収できる方ではありますが、少しずつ自分の価値観が固まっていることは自覚をした方がよいでしょう。
専門家や管理職であったとしても、その国でのビジネスはまだまだ新卒のようなものです。謙虚さを忘れずに柔軟に吸収していく姿勢を意識して持ち続けることが大切です。
30代で海外へ転職する選択肢
どのような年代でも日本人が海外で働く場合大きく3つの選択肢があります。
- 日本で転職し駐在員として海外へ配属
- 外資系の日系企業担当として転職
- 現地で現地採用として転職
もしあなたがすでに海外に関連する業務に従事していれば①や②の選択肢が出てきます。ただし、すでに高い英語力と海外での経験値を積んでいることは最低条件となります。
英語力や海外関連業務の経験が不足する場合は③の現地採用が現実的となるでしょう。ただ、この場合でも30代ともなればそれなりのポジションでの採用となることが多いです。
ただ、どのようなパターンを目指すにしろ自分だけで進めるのはリスクが高いので控えてください。
すでに海外で働いている知人を頼るか、知人がいなければ転職エージェントを活用した方がようでしょう。
海外に強い転職エージェントについては下記も参考にしてみてください。
30代はまだチャレンジが許される世代
30代だともう遅すぎるのでは?失敗したら後がない…と不安に思われるかもしれません。
ただ、30代はまだチャレンジが許される世代です。これが40代半ばとかだと「まだチャレンジできますよ」とは言えません。
何よりもビジネス経験も体力もある30代は海外でも求められているのです。また、実際に海外で働いていると、実は目について活躍しているのは30代と40代だったりします。
もしあなたが海外でいつか働いてみたいと思っているのならば、30代のうちに動いてしまうのが良いかと思います。
ただしリスクを最小限にするために必ず第三者に相談しながら進めてください。