日本にいると「海外で働く」のは「人生の岐路となる重要な決断」という印象が強いですよね。
しかし一度日本国外に出て世界を見渡すと、国境を越えて働くというのはそれほど重大な決断じゃないのかも、と感じてきます。
海外に一度住んだことのある方なら通じるのかと思いますが、海外って「国境の境目が薄い(あくまで感覚的な話)」んです。
中国を経て東南アジアに住む筆者が思うところを少しまとめてみました。
海外転職や就職に踏み切るかどうか迷っている…というときの参考になればうれしいです。
この記事の目次
世界に出てみると海外転職は意外に普通の選択肢
日本に住んでいると「海外で働く」や「海外に住む」というとものすごく珍しがられます。
さらにそれが会社の辞令ではなく、「転職」や「独立」など自分の意志で行くとなればもはや珍獣扱いです。
かくいう私自身も日本を飛び出す際は「人生の岐路…」とかなり重たい覚悟をもって飛び出してきました。
ところが一度日本海(太平洋でも構いません)を超え、大陸に渡ってみると「海外で働く(暮らす)」ということに対する感覚の違いに驚きます。
ホワイトカラーとして…、技術者として…、出稼ぎで…、と人により事情こそ異なりますが、共通して「海外で働く」ということに対する「壁」がそもそもかなり低いのです。
もちろん日本人以外の全員がいつでも海外で働く心構えがある、というわけではありません。生まれた国でずっと生活していく人たちの方が大多数です。
ただ、海外で働くことを選択する(できる)人の比率は日本よりも圧倒的に多いと感じます。
特に私が現在いる東南アジアはASEANとしてひとくくりにされるだけあり、国を超えた人材の流動性がものすごく高い。むしろASEANに収まらない距離感で人が移動します。
有名大学の卒業生や、専門技術者になるとその傾向がさらに高くなります。
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歴史と地理的環境が日本人を閉鎖的にしている?
何度も言いますが、外国にも「海外で働くなんて怖くて無理」という人はたくさんいます。
ただやはり日本人よりも海外に対する抵抗感が少ない人が多いように感じるのです。
この外国人と日本人の差というのはどこからくるのでしょうか?
いくつかの理由が考えられます。
島国なので外国人慣れしていない
まず1つめは日本は島国だったため歴史的に人種交流が少なかったということがあるでしょう。
大きな海を越えないと日本の外には出られず、日本を訪れることもできません。船や飛行機が発展するまではそう簡単に移動はできないですよね。
陸続きの国々と比べると人種交流が圧倒的に少なかったはず。外国人との接触事態が非常に珍しいことだったのだと思います。
逆に陸続きの場合は外国人が訪れること、逆に外国を訪れることは国内移動の延長線のような感覚だったのではないでしょうか。
世界一長い歴史を持つ単一民族独立国
日本は現存する国の中で最も長い歴史を持つ国です。
天皇制の元、国が変わったこともなければ外国に植民地化されたこともありません。
さらに国民のほぼすべてが日本人(単一民族)。
これは非常にレアなケース(日本以外もはや存在しない)で、海外で外国人に話すとものすごく珍しがられます。
わかりやすく書くと「2千年以上にわたり日本人だけで国を維持してきた(※)」ということ。
※神話も含むと紀元前6世紀から。
島国にプラスしてこの歴史。それは多少閉鎖的になるのも仕方がないかもしれません。
内需だけで生きてこれた
最後は内需の強さ。
世界大戦後、日本は奇跡の復活を遂げ高度経済成長期を迎えました。
そして1.2億人の人口とともに日本国内の内需も大きくなっていきました。
実は「人口1.2億人」というのは世界的にもかなり多い方です。
わざわざ海外に積極的に出ていかなくても、日本国内だけで商売が成り立つ会社がほとんどだったのでしょう。
一部の大企業を除き、多くの企業は海外に出ていく必要はなかったのです。
一方、経済成長できなかったり内需が小さい国では企業も人も積極的に国外へ出ていくようになりました。
海外で必要なのは語学よりもオープンなマインド
日本人が外国人や海外に対して「特別な意識」を持ってしまうのは言葉の問題も大きいと思います。
ただ、海外を飛び回っている外国人たちが必ずしも全員英語が堪能かというとそういうわけでもありません。中にはそこまで英語が得意でなくとも国境を越えて生きている人達というのもいます。
日本人が海外・外国に対して閉鎖的なのはやはり英語力よりもマインド面に大きな違いがあるのだろう、と感じます。
日本で働くことを否定する気はありません。生まれた国で働くのは当たり前のことです。
ただ、選択肢を多く持っておくことは大切だと思います。
外国の海外転職に対する感覚を知っておくことは、決して損にはならないでしょう。