東南アジアにいると季節感がまったくなくなるのですが、もうすぐ5月ですね。
いわゆる5月病で「もう満員電車に揺られるのは辛い…」、「このまま仕事を続けて意味があるのだろうか?」など考え始めている人もいるかもしれません。
少し極端ですが、そんな人はもしかしたら海外に目を向けてみてもよいかもしれません。
当サイトでは海外への転職について情報発信していますが、今回はコラム的に「海外と日本の働き方の違い」をご紹介します。
この記事の目次
海外で実際に感じる日本との働き方の違い
一言に「海外」と言っても世界は広いものです。この記事内で書く内容については主に東アジアや東南アジアの話だと思ってください。
ただ、欧米人と意見交換した経験から、そこまで欧米も変わらないはずです。海外では日本人の働き方の特殊性が目立ちます。
以下、私が実際に海外で働いている経験から「日本と全然違うなこれ」と感じた点を記載します。
[box05 title=”日本と海外の働き方の違い”]- 報告、連絡、相談、は仕事ができない人
- 定時で帰って当たり前
- 仕事は過程よりも結果
- 有給休暇は正統な権利として使い切る
- 3年留まれば長い方、キャリアアップのために会社を使い倒す
報告、連絡、相談、は仕事ができない人
日本の会社は新入社員が入ってくる時に必ず教えることが3つあります。1つ目は名刺の渡し方、2つ目は電話の受け答え、そして3つ目がホウレンソウ、いわゆる報告、連絡、相談、です。
このホウレンソウの良し悪し自体はここでは語りませんが、海外では一般教育としての「ホウレンソウ」は存在しません。
日本のような感覚で細かく上司にホウレンソウしたり、逆に部下にホウレンソウを求めると「なんだこの人は極度の心配性なのか?」のような反応をされます。
海外では部下でも外注でも「仕事を請け負う」立場になった場合、「何かトラブルが無ければ報告も連絡も相談もする必要が無い」という感覚が強いです。
むしろあまり突っ込みすぎると「これは私に任された仕事なのだから私の責任でやり切ります。口を出さないでほしい」という反応をする人もいます(欧米人に過去言われました)。
また、国によっては「上司に仕事の相談をするのは上司に負担をかけてしまうからよく無いことである」という極端な価値観もあります(これはインドネシアで言われました)。
いずれにせよ共通しているのは「細かくホウレンソウ的なことをする人はあまり仕事ができない人」という価値観です。
日本のように新卒を新卒と扱わず、新卒(Fresh Graduate)と言えどもプロとして扱われる、という違いも影響しているのでしょう。プロなのだから言われたことはやり遂げるのが当たり前という感覚です。
定時で帰って当たり前
日本のオフィスは不思議なもので、「先に帰る人が申し訳なさそう」に帰ります。また、当に若手社員に多い話ですが「上司が帰るまで帰れない」という空気もあります。
サービス残業も蔓延しており、会社によっては「定時に帰るのは良くないこと」という会社すらあります。ブラック企業までいかなくとも、自然発生的な悪癖として多かれ少なかれ一般企業にもある話ではないでしょうか?
一方、海外では定時に帰るのが基本です。基本が定時で、残業は必要に応じて行うものです。
まぁ東南アジアの場合、仕事を残したまま帰ってしまう、ようなよろしくない事態にも陥りますが、兎にも角にも基本が「定時に帰って当たり前、だってそういう契約ですから」という価値観なのです。
毎日定時に帰るスタッフがいたとしても誰も気にも留めませんし、評価にも反映されません(成果を出している限りは)。
もちろん、海外でもIT系スタートアップや外資銀行、戦略コンサルタントなどは定時など関係なく働きます。ただ、一般論として何もない時や早く帰る必要がある場合には「帰ってよし」という空気があるのです。
仕事は過程よりも結果
「実力主義を取り入れた」と言ってもまだまだ日本の企業は仕事の過程も重視します。きちんとホウレンソウができているか、遅くまで頑張っているか、という点も過程の一つ。
また、勤続年数が給与や賞与に反映されるのも「過去の貢献や態度(≒現在までの過程)」を評価に入れていると言えます。
海外では基本的に結果重視です。どれだけ頑張った姿を見せても、結果が出ていなければドライに評価されます。逆に言えば頑張らなくても成果さえ出しておけば評価され続けます。
そして同じ年齢だろうが、同じ勤続年数だろうが異なる給与になっていきます。
有給休暇は正統な権利として使い切る
日本は世界でも有給取得率が圧倒的に低く、有給取得率調査ではワースト1位の常連です。
有給休暇は会社と労働者間の正統な契約事項であるにも関わらず、日本では有給を取得すると「申しわけない」という罪悪感が生まれがちです。
取得側に罪悪感が無くても、会社側(つまり上司)からは「(平日に休みやがって…)」という雰囲気が漏れ出ることも。
定時帰宅と似ているのですが、海外では周囲に迷惑さえかけなければ正統な権利として普通にガンガン有給を使います。私用で1日などではなく、休暇にくっつけて長期休暇にしてしまうことも普通にあります。
会社と個人は労使関係ではあるが契約関係。契約上の権利は履行して当然、という考え方が強いのです。
3年留まれば長い方、キャリアアップのために会社を使い倒す
日本には石の上にも3年という言葉があります。特に若い方向けに使われますが、どんなに今の仕事が辛く合わなくても3年間は我慢しなさい、という意味合いですね。3年以内に辞めると「何かこの人は問題があるのでは…」とすら思われがちです。
逆に海外では若い人が3年も同じ会社に入れば「長い方」と判断されます。特に私が現在いる東南アジア圏では1年2年での転職が当たり前です。
彼らは昇給機会を社内昇進ではなく転職に求めるため、良いオファーがあれば遠慮なく転職していきます。次のキャリアアップのために今の会社を使っている、という感覚すら感じます。
仕事が合わないという理由でも簡単に転職するので「堪え性が無い」という見方もできますが、実際1社でじっくり働く人よりも、適宜転職を繰り返した人の方が給与が高かったりします。
一方、長く残っている方は給与は高くありませんが、簡単には首を切られないという安心感はあるのでこの辺りは何を求めるかによるのでしょう。
圧倒的な違いは会社主義と個人主義
細かい違いを挙げればきりがないほど日本と海外では様々な違いがあります。
ただ、違いを無理矢理一言にまとめるのであれば「会社主義と個人主義の違い」と言えます。この違いが起点となって様々な違いが生まれています。
日本の場合は終身雇用の名残からか「会社とは社会であり、人生であり、会社に尽くす」という感覚がいまだに残っています。会社の名刺や、メールの署名でも会社名が先に来るのが証拠です。
一方、海外では会社は会社。個人は個人。自分の人生では常に個人が上位です。その影響か会社名よりも個人名が常に先に来ます。メールの署名でも個人名が先に来るパターンも多い。仕事の出会いでも名刺を持っていないケースも多々。「どこに属しているか」よりも「自分は何ができるか」「自分は何を求めているか」を重視します。
自分の人生は自分で責任を持たねばならない、という感覚が強く、そのためにキャリアアップも積極的。それが仕事観や転職観に現れています。
このあたりは別の記事でもまとめているので気になる方はぜひご覧ください。
https://kaigai-tenshoku.net/attitudes-toward-change-jobs/
海外で働くと日本の働き方に戻れなくなる?
人によってはあるかもしれません。
たとえ日系企業の下で働いていたとしても、海外で働く場合は海外のルールが主体になります。社内のスタッフは外国人ですし、一歩外に出れば取引先でパートナー企業でも外国人がメインです。
蛇足ですが、数年海外で働くと日本に戻った際に大きな違和感を感じるそうです(筆者はまだ戻っていないからわからない)。
先日も個人的な知り合いが日本へ帰ったのですが、
- 社内でのつまらない脚の引っ張り合いが多い
- 社内の報告資料に時間をかけて残業なんて意味が無い
- とにかく社員が疲れていて顔が暗い
などのようなことを吐き出していました…。
ただ、逆に
- スケジュール通りに仕事のレスポンスが来る点はストレスが無い
- 日本食が毎日食べられるのは幸せ
- 生活インフラが整い過ぎて快適
- 日本語が通じるのはやっぱり楽
とも吐き出していたので悪いことばかりではありませんね。
何事も黒か白では決まりませんので、海外の感覚を持ちこみつつ日本で成果を出していってくれればと密かに思います。