日本の産業はよく「ガラパゴス(独自の進化を辿っており他国へ展開しにくい)」などと例えられますが、ガラパゴス化しているのは何も産業だけではありません。
日々私たちが「当たり前」と思っている「文化」や「商習慣」、「価値観」に至るまで、実は日本独自というものがいくつかあります。
中には海外では「タブー」に当たることも…。
本記事では海外勤務を始めたばかりの日本人が犯しがちなタブーをご紹介します。
もちろん国やエリアによって濃淡はあります。
ただ、あなたがもし海外で働きたいのであれば、ここであげた項目は理解しておいたほうが良いでしょう。
この記事の目次
人前で怒る
最近でこそ少なくなってきましたが、日本では「あえて見せしめとして他社員の前で怒る」という人がいます。
また、特に意図はなく、ついついかっとなってその場で怒ってしまう、という人もいるでしょう。
しかし海外では基本的に「人前で怒る」のは好まれません。
国によっては「尊厳を傷つけられた」と大事になる場合もあります。
たとえ部下であっても、叱る場合は人目につかない場所で行う方が良いです。
しかし、仕事に本気で取り組むほど「ついつい熱くなりその場で叱ってしまった…」ということもあるでしょう。
ということで、できれば日本にいる時から「人前で叱らない」という習慣を身に着けておいた方が無難です。
動物に例えた侮辱
日本語にも「馬鹿」という言葉があるように、世界中で動物は人を侮蔑する際の表現として使われています。
日本の「馬鹿」の場合はまだカジュアルな雰囲気がありますが、海外では大事になる場合があります。
東京オリンピック2020開会式運営委員の方が解任された件はまだ記憶に新しいでしょう。
某広告代理店出身のプロデューサーが、芸人を「豚」にかけ合わせた企画を提案していた、ということが理由で解任されました。
「何もそこまで非難されるべきことか…」と感じたかもしれませんが、世界では強く非難する方が普通です(それほど失礼なこと)。
動物の種類こそ国によって変わりますが、「人を動物に例えることは強い非難を生むことがある」ということは感覚として持っておいた方が良いです。
根性論
「根性論は日本だけの文化である」とまで言うつもりはありません。しかし海外では根性論が通じないケースがほとんどだと認識しておいた方が良いでしょう。
日本でも若い世代では根性論は通用しなくなっています。若い世代では根性ではなく「効率的」に「具体的」な方法で物事を解決すべきという風潮が強いですよね。
海外でも基本的にはこのような考え方が求められます。
もちろん何かを成し遂げる際に「根性」は必要です。ただ、根性論だけでは人は動かないし動かせないと思っておいた方が無難です。
宗教行事への干渉
無神論者が多い日本だとあまり想像がつかないかもしれませんが、海外では基本的に人々は何らかの宗教を強く信じています。
宗教が根付いた国では生活の中に強く宗教が入り込んでいます。宗教行事による祝祭日が設定されている場合もあります。
そしてイスラム教の「礼拝」や「断食」にように、宗教による戒律に沿って生活している人も世界では少なくありません。
時には仕事よりも宗教を優先されることもあります。
しかし決して日本の価値観で「仕事優先」を押し付けてはいけません。
どうしても何らかの調整が必要になった場合は、相手側の価値観をしっかりと理解した上で話し合いに入ってください。
仕事>家族という価値観
海外では「家族>仕事」の価値観を持っている人の方が多いです。
- 家族とともに人生を生きる手段として仕事がある
- 仕事のために家族が犠牲になることはあってはならない
と考えるのが普通です。
時と場合によりバランスが変わるテーマではありますが、海外では圧倒的に家族優先の価値観が主流だと認識しておいた方がよいでしょう。
飲み会で仕事の話
「会社のメンバーと飲む文化」があるかどうかは、国によって変わります(※)。
※日本ほど会社の公式行事として飲み会を重視する文化は珍しいですが、欧米圏やアジア圏でも同僚と飲みにいったり、食事をとったりはします。
ただ、ほぼ世界共通の価値観として「仕事の話は会社でする」というのがあります。
日本人は会社の延長線上として飲み会を位置づける場合がほとんどでしょう。そのため飲み会でも仕事の話で熱くなったり、場合によっては叱咤激励なんてこともあります。
海外では「オフィスを一歩出れば仕事の付き合いではなく、プライベートな付き合い」という考え方の方が主流です。たとえ上司と部下でも、オフィスを出た後の付き合いは「個人」としての付き合いです。
上下関係はありつつも、あくまで個々人の交流を深める場という位置づけです。
日本のように仕事の話ばかりしていると、ひかれるケースの方が多いのでご注意ください(筆者経験済み)。
日本の常識は世界の非常識!
海外で働き始めると、ついつい「日本ではこうだった…」「日本だったらこうなのに…」と考えてしまいます。
しかし日本は世界中に200ほどある国のうちのたった1の国でしかありません。海外には異なる常識が根付いています。
日本と比較することはけっこうですが、決して日本流を押し付けることのないように気を付けたいものです。