「海外で働いてみたい!」という方と話すと、けっこうな確率で「あ…ちょっと海外で働くことに対して間違ったイメージを持っているな…」と感じることがあります。
海外でもしっかりと働くことができるよう、海外に出てくる前に「勘違い」は解消しておいた方が良いです。
この記事では海外就職・転職をする前に知っておいて欲しい「海外転職・就職に対するよくある勘違い」をまとめています。
この記事の目次
海外転職・就職に対する5つの勘違い
英語は海外に住めば話せるようになる?
断言しますが、英語は海外に住むだけでは話せるようになりません。
日本に住んでいる外国人で日本語を話せない人はたくさんいますよね?同じく海外に長く住んでいても現地語どころか英語もあまり話せない日本人はたくさんいます。
確かに海外で暮らすと圧倒的に外国語に囲まれる機会が増えます。
しかし日本人ばかりで固まったり日本人相手の仕事が中心になると「そもそも外国語を話す必要はない」のでいつまで経っても外国語は習得できません。
また、外国語習得が必要な状況、に置かれたとしても本人が相応の努力をしなければ「日常会話に毛が生えた程度」のレベルで成長は終わります。
海外で働きながら語学を習得した人は必ず「能動的な努力」をしています。
別の言い方をすれば、外国語を習得できる人は「自ら環境を生み出し努力をできる人」です。
海外で外国語を流暢に操る日本人は、日本にいながらでもある程度の外国語を習得できるはずです。
海外での仕事は華やか?
正直なところ、日本の丸の内あたりで働くビジネスマンの方が華やかな仕事をしていると思います。
華やかな世界は洋ドラの中だけ。確かにハイタッチ!など海外ならではのボディランゲージを使ったりはします。
ただそれ以上に海外で働く日本人は泥臭い日々を過ごしています。
海外のオフィスは「日本とは違い海外は効率的」なイメージが先行してますね。仕事は最小限のコミュニケーションで片付け、個人でやることをやったらささっと帰るイメージ。
たしかにそういう面もありますが、実際は細かい部分が雑だったり、全然報告がないので毎日泥臭く連絡をしなければならなかったりします。
日本人同士のような「阿吽の呼吸」はありません。文化も常識も感覚も異なるので、仕事の依頼をするときも根絶丁寧に説明して…。
何を言いたいかというと海外での仕事は決して効率的ではないんですね。私たち個人個人の仕事の仕方だけ見れば、むしろ非効率なことが多いです。
また、海外で働く外国人はけっこう孤独です。時には1人寂しくランチを食べたりします。
海外で働くというのは決して派手なものではなく、意外に「地味で泥臭い」部分が多かったりします。
私は新興国で働いていますが、先進国でもあまり変わらないのでは?と思います。
海外現地採用は片道切符?
海外で現地採用として働くと、日本に戻ってこれないという話をたまに聞きます。
背景としては「海外から戻りたい日本人の数が多く供給過多状態」があると言われています。
これは半分は事実。たしかに求人の数より求職者の方が感覚値としても多いかもしれません。
でも半分は間違いです。現地採用でもしっかり自分のやってきたことを説明できる人には次のポストはあります。
ポストの中には「さらに海外に常駐して活躍してほしい」という話しが多いですが、中には
- 日本に戻り海外担当として働く
- 出張ベースで海外セールスマンとなる
- 即戦力駐在員として採用される
などの選択肢もあります。
自分のキャリアをきちんと説明できない人によいポストが与えられないのは海外でも日本でも同じです。
日本でも「なんとなく」働いてきた人には良いチャンスは巡ってきません。
それと同じだと思いますよ。
新興国では5万円あれば生活できる?
日本人としての生活を捨てるならできます。
実際に新興国の現地の方々は5万円や6万円で生活しています。
現地人が済むような住宅に住み、食事も現地飯のみ。お酒も特に飲まず、カフェなども行かず、道端で談話…みたいな生活ができれば大丈夫。
でも普通の日本人には無理です。そんな修行僧のような生活耐えられません。
まず海外生活していれば日本食が恋しくなります。しかし日本食も日本の食材も日本より断然高い。1.5倍くらいします。
住居もその国の首都であれば、新興国と言えども家賃はそこまで安くもはありません。
例えば私が住むインドネシアのジャカルタだと、日本人が最低限耐えられる一人暮らし用の部屋を借りると3-4万円程度はします。
東京の家賃よりは安いですが、日本の地方都市とはそこまで変わらない感覚ですね。
1万円程度で借りられる部屋もありますが、普通の日本人は耐えられないと思います。
日本の生活様式から現地に合わせていく必要はありますが、それでも日本人としての「最低限のライン」というものはあります。
「最低限のライン」で生活したとしても、日本人として暮らすならば現地人と同じコスト感覚では生活できません。
また、もし「日本に近いレベル」の生活を新興国するのであれば日本よりお金がかかります。
海外で働けば何者かになれる?
海外で働くことは「特別」に感じるかもしれませんが、今の時代そうでもないと思います。
一昔前であれば「海外で働いている」といえば商社マンなど一握りの人たちの話でした。
しかし現代は100万人程度の日本人が在留邦人として海外に住んでいます。 今後増えていくことはあっても減ることはないでしょう。
海外キャリアという選択は単なるキャリアとしての一選択肢でしかありません。
見聞は広がりますが、海外で働いたからといって日本で働く人たちより優れているわけでもありません。
また、最初に海外に渡ったばかりの頃は何もかもが特別に感じるかもしれませんが一年もすれば単なる日常になります。
たしかに海外は人生の知見や可能性を広げてはくれます。ただ、海外が何かを変えてくれる!海外に行けば何かになれる!という過度な期待はやめた方が良いでしょう。
しかしここで書いたこと朗報で、違う見方をすれば「海外キャリアを選んだとしても今後さらに様々なキャリアの選択肢も選べるようになる」ということです。
海外が特別視されなくなった時こそ、真に日本人、日本の会社が世界で活躍できる日が来るのだと思います。